ミラノの老音楽家たちの家

２００４年３月６日

ミラノにある老いた音楽家が晩年を過ごす家というのを今見ています。ウェルディが作ったもの。活躍した音楽家で、推薦がある人が入れる。かつてのプリマド ンナや名指揮者や歌手たちが、悲惨な晩年を過ごさずに音楽家としての誇りをもって暮らせるようになっている。各自個室に住み、楽器もいつでも弾けるように してある。年金の８割だかを払えば、衣食住すべて面倒を見てくれるシステム。９８歳のピアニスト。呼吸の調子のいい時はまだピアノを弾く。７９歳の女性ピ アニスト。来た当初はリュウマチで両手が開かなかったのが、ここでピアノを弾くうちに右手３本、左手２本の指が動くようになり、その指を使って弾いてい る。住んでいる音楽家同士のコミュニケ―ションもあり演奏会みたいな場もあって、外から聴きに来る人もいる。生徒をとって教えている人もいる。
　でもやっぱり、これだけ集まっていると老残が強調されることは否めない。８８歳の老チェリストは妻と死別したあと、この家で知り合った女性歌手を恋人に していたけど、この女性は今では痴呆になって、待ち合わせ場所にも姿を見せない。
　やはり虚しい…。