僕は妊娠しているかもしれない
２００５年
８月２９日
＊今日は姉と一緒に父をタクシーで病院に連れて行きました。心臓ペースメーカーのチェックです。幸い電池はまだ大丈夫。入れ替えとなると入院です。毎回、
心電図と胸部レントゲンを撮り、最後に主治医の説明を受けます。心臓は、今のところはまあまあ頑張っている。検査も早く終わり、疲れは最小限で済みまし
た。
さて、病院にはいろんな科がありますね。複数の科を受診する患者もいる。足を怪我して外科へ。風邪も引いているので内科もというようなケースもあるで
しょうが、ひとつの病気が科をまたぐ場合もある。たとえば糖尿病で内科を受診したら、目にもきていて、眼科に回される場合もあるでしょう。
私たちは、３階で父の心電図をとってもらったあと、地下１階のレントゲン室に行ったのですが、レントゲン室のドアの上に小さな電光掲示板が新たに設置さ
れている。見ると「妊娠している方、または妊娠の疑いのある方は申し出てください」と表示している。まあ、よくある表示です。妊娠初期に胎児がＸ線を被爆
するのはよくないからですが、ふと空想してしまう。
男の患者がこう申し出る：「あのう、僕は妊娠しているかもしれないんですが…」。レントゲン技師はいちおうカルテを確認するが、「男性」となっている。
技師は、「どういうことでしょうか？」と聞きなおす。同じことを繰り返す患者。技師はその男性の目をまじまじと見つめる。本気だ…。「ちょっと待っててく
ださい、先生と相談しますから」と言って、患者には廊下で待ってもらい、患者の主治医に電話する。主治医の指示で、レントゲンを後回しにして患者を精神科
（神経科）に回すことになる…。胸部外科で受診しにきたのに、受診科目がひとつ増えてしまった…。頭の中でこのような空想をしながら、フフフと笑いそうに
なる。おっと。
姉に「親父が、妊娠しているかもしれないんですが…って言ったら、精神科に回されるな」と言ってみる。関心もなさそうな姉。
姉には占いの話や神秘学の話もしたことがない。そう
いうことに関心がないことを弟として知っているからです。
現実世界から逸脱する空想という現象自体、狂気と紙一重かもしれません。でも私は、規則や法則の中に閉じ込められ、精神が縮こまることは好きではないの
で、空想に一種の解放を感じます（神秘学的には、これはルチファーの働きによります）。最後に現実に戻ることが前提ですが。