フェロモンを占星術的に見たら
２００２年２月７日（木）
＊学校がなくて学生たちに会わないと、なんか詰まらない。まあ、家庭にも面白いヤツがいて、退屈はしないけど、大勢の学生と接する 刺激はまた格別です。
私も学生時代に教育実習をしました。大学院の１年生の時、男子高でドイツ語の実習をしたのです。でも、教壇に立ったのは２回だ け。１人の先生が３人の実習生を受け持ったので、割り当てがあったのだと思います。あとは見学してました。教壇に立った時は緊張しました。前夜、布団の中 で、いろいろ冗談を言って自由に授業を進める空想をするのですが、いざ実際に教壇に立つと、生徒の反抗的な視線に射すくめられて、かちかちになってまし た。２回くらいじゃダメですね。５年後に大学で教え始めてからは、急速に慣れて行きましたが、要するに回数を重ねることも必要なわけです。
同じ大学の独文専攻から５人が実習に行ったのですが、私以外は学部の４年生。２人は別の先生につきました。H君とN君。H君は大 学院に進み、卒業後、世田谷区にある大学に勤めていましたが、２年前に肺がんで亡くなりました。同じゼミだったので、ショックでした。もう１人のN君も大 学院で一緒になりました。このHPも見ているらしい。
私がついた先生は、後にロマン派研究の大家になった人です。その先生のもとで実習した３人の中に、女性のYさんがいました。男子校なの で、生徒にとっては、うら若い女性が廊下を歩いていること自体がセンセーショナルなこと。すれ違って、あっ、女だ！とかいう生徒もいる。わいせつな仕草を するヤツまでいる。並んで廊下を歩きながら、こちらは冷や冷やしました。授業中、我々３人が教室の後ろで見学していた時のこと。何かのきっかけで、生徒たちが、どどどどと全員、教室の前後のドアから出 て行ってしまった。我々の目の前も、大勢の生徒が風のように走りすぎる。その後を追いかける先生。Yさんは「動物園みたいね」と言っていました。こうい う、ワイルドな雰囲気は、中高、男子校にいた私は慣れていましたが、女性にはきついかなと心配しましたっけ。
この女性は、不思議な磁力を放っていて、周囲の男性を無意識にひきつけていく。フランス語で実習にきていた男子学生が、実習生の 控え室で、交際を申し込んだほどです。私の目の前の出来事です。即座に断られていました。私の観察では、担当した先生まで、実習の後半、様子が変になって いました。
私が後に西洋占星術を覚えてから、彼女を調べて、金星と天王星の合が、木星から衝で強調されていることを知りました。これは異性 を非常に強くひきつける相です。これだけ強烈な相は、その後もお目にかかったことがありません。H君は彼女と同学年でしたから、その磁力に当然気付いてい ました。１年ほど後に大学院に入ってきた彼と親しくなって話したとき、なんだ彼女のあの妖気は、と話が合いましたっけ。私の場合は、彼女の火星の位置に、 私の金星がちょうど重なっていたため − それが原因というわけではなくて、それは運命の意図を暗示しているだけですが − 強くひきつけられ、混乱しま した。非常に強い感情的経験でした。当時の私としては、梶井基次郎が好きだという彼女の、かなりアナーキーかつ美的な精神に惹かれたつもりでしたが、ホロ スコープには、惹かれざるを得ない暗示が表わされていたのです。３０年近く前の、遠い昔の話。こういう女性が仮に老人ホームに入ったら、お爺さんたちがプ ロポーズしまくるのだろうか。