こわしてはいけない
２００５年
１月１９日（水）
＊西洋文学は試験をしました。ドイツ文学（ないし西洋文学）の作品の感想か、創作もOK。その場で頭をしぼって書く学生。メモをもってきて写す学生といろ
いろ。
私は何度か教室を巡回しましたが、贋作はあっても、その場でのカンニングとかはありえないので、教壇にいて暇な時間が多いでした。そこで私も、余った答案
用紙に詩を書いてみました。
若い人で、心が乱れ、死にたくなる人が多いです。そういう人たちのことを思い浮かべながら切実な思いで書きました。
こわしてはいけない
こわしては いけない
こころを きずつけてはいけない
ひとのこころはもちろん
じぶんの こころも
ことばが はしる
ことばが すべる
あかくなるかお
どきどきする しんぞう
こころがあかくなる
こころが ちをながす
とじため ふかいといき
こわしてはいけない
こころを きずつけてはいけない
あくまのつばさに のって
ほとばしるいかり おそれ
こわしてはいけない
きずつきやすくなったこころを
ちからのなくなったこころを
たちあがれなくなったこころを
たちなおれなくしてはいけない
こわしてはいけない
じぶんのものではない じぶん
じぶんがつくったのではない じぶん
はいごにひろがる やみ
やみになかにきえて
きえてしまいたい じぶん
こわしてはいけない
じぶんの いのちを
こわしてはいけない
やみのなかへ
はいいろの めいろを
さまよいだしてはいけない
おおきなひかり
きみがうまれでた おおきなひかり
いききって
こいをして
こどもをつくって
しぜんに おいて
たくさんのおもいでを のこして
さいごのいきをはく ひとのまえに
おとずれる ひかりをまとう