ちょっとした共体験で話がはずむ？
２００１年１２月５日（水）
＊今朝、バス停に立っていたら、トラックがクラクションを鳴らしている。見ると、乗用車が停まったまま動かない。乗用車の前の信号は青で、そこまで６０メートルほど車がないのに、動かない。歩道から運転席を覗くと、運転者がいないようにも見える。こんなところに駐車？ 私は瞬時に、車の往来が途絶えているのを確かめてから、車道に出て、乗用車に近づき運転席を覗いてみました。７０歳くらいの年配の婦人が、背をシートにもたせかけ、ややうつむき加減に目をつぶっている。私は、瞬間、これは変だと思いました。トラックの運転手は、なんだぁ？という感じでトラックから降りて、こちらに近づいてくる。私は、この運転手に向かって「具合が悪いのかもしれません！」と叫びました。トラックの運転手は、乗用車の運転席の横へずかずか歩み寄ると、ちょっと覗いてから、サイドのガラスをコンコンと叩きました。すると、なんと婦人はパッと目を開け、ブルルル〜ンと車を発進させたのです。
あぜんとした私が、歩道に戻ると、近くで一部始終を見ていた工事現場の警備員が、「よくあるんだよ。寝ちゃうんだ」と言う。「寝てたんですねぇ…」と私も呆れて言いました。バス停に置きっぱなしにしていたカバンのところへ戻ろうとすると、その前にいつの間にか、近くの店主が立っていて、面識のない私に話し掛けてきました。店主：私のお客さんに、心筋梗塞になった人が多いんですよ。
私：はあ、運転中にですか。
店主：そう。○○さんは、運転中、心筋梗塞。４人即死だよ。それから××さんは、路肩に停まって死んでいた。気分悪くなって停めたんだろうね。△△さんは、後ろの車が気が付いて、病院に運んだよ。
私：運転中にねぇ。こわいですねぇ。大変だ…。
共有した「事件」の仲介で、こうして見知らぬおじさんと話していることが、不思議でした。同じことが繰り返される平凡な日常が、少しだけ平凡でなくなった数分間という感じでした。