サイバーアントロポス
１９９９年３月ドイツのシュタイナー関連のネットワークを見ていたら、サイバーアントロポス（Cyberanthropos)という言葉に出 会った。「うーむ、シュタイナーの考えを受け入れ(つまりアントロポゾ―フである。いちおう）、かつ（にもかかわらず？）インターネット（サイバースペー スの世界）を使っている自分も、サイバーアントロポスか、なるほど」と感心したり、自省したり。本来、エーテル的・生命的なものを重視する人智学の考え と、非生命的・バーチャルな世界とは相性が悪いのです。以下にシュタイナーがテクノロジーについて述べていることを引用しますので、みなさんのご意見をお 聞かせ下さい。シュタイナーの言っていることは、霊的根源的なことなので、答えに詰まる面もあるかと思います。でも、インターネットを用いてシュタイナー の考えに接しようとする人には、この問題は身近かではないでしょうか。フォーラム（掲示板）を意見交換の場に用いたいと思いますので、どしどしご意見を書 きこんで下さい。
なお、考えられる意見としては、１．コンピュータの世界は確かにアー リマン的かもしれないが、シュタイナー自身、この歩みは必然だと言っている。要は自分で関わりをいかにコントロールするかだ。現代人はアーリマン 的なものとル チファー的なものとのバランスの上に生きていかざるをえない。
２．矛盾したことは止めるべきだ。シュタイナーの考えを本当に受け止めているなら、インターネットの利用は止めよう。
３．インターネットはコミュニケーションの手段と考えれば何ら問題ない。電話やテレビをなくして原始時代のような生活に戻ること は、シュタイナーだって薦めやしないだろう。自然霊ともうまく付き合おう。
４．現代の医療の進歩も危ないのだろうか。テクノロジーの進歩がアーリマン的な力の働きかけによるものだとすると、たとえば遺伝子 操作などは、ア トランティスの滅亡と同じ破局をもたらす要因にならないだろうか。
５．たまたまこのホームページにたどりついただけ。シュタイナーの霊的世界観も知らないので、何ともコメントのしようがない。
などがありうるだろうか。違う意見も歓迎です。
以下は全集１７７番『顕在世界の霊的背景 ― 暗黒の霊たちの落下』第４講演の要約 です。
「電話、電信機を作ったり、蒸気機関を走らせているのは、人間の頭脳から出た考えだけではない。これらすべては自然霊の影響下にあ る。１８世紀から我々の文化にインパルスを与えているこの自然霊は、神々が生死を起こすのに利用しているものと同じ種類のものである。現在、この＜生死の 自然霊＞はテクノロジー、商業主義的な人間組織などの下僕になっている。…アトランティス期の第４文化期までは、神的霊的存在は、ある種の自然霊を人間進 化のために利用していた。当時、神的存在は、今のように生死を司るだけでなく、地上へ別の営みをもたらすために、この自然霊を利用したのである。この頃の 人間は、心のあり方に応じて、体が大きくなったり、小人であったりしていたのだ。ところがアトランティス期の第４文化期に至って、人間たちは、神々がかつ ては人間の成長や容貌の形成のために用いていたこの自然霊を、支配できるようになった。そして人間は、これらの霊を用いて、同朋を傷つけたのである。同胞 をその成長期に小人にしたり、巨人にしたり、賢くしたり、馬鹿にしたり自由に操れるようになった。こうしてアトランティス期の残りの４つ、ないし３つの文 化期が経過するうちに、アトランティス文化全体が没落へ向かったのである。この同じ自然霊が、アトランティスの後、第５根源人種の、その第５文化期になっ て、テクノロジーや商業主義の中に働きかけている。これは必然のうちにある。文化の発展自体が、「生死の自然霊」を必要としている。この悪霊はアーリマン の使者である。第５文化期に始まる文化の下降が再び破局を起こすために、この霊の介入が必要であった。実験室、工場、銀行、いたるところで悪魔の使いとの 関わりが生じている。人間はいわば、悪魔の力がその鍵にこもっているような、鋼の部屋を開けたのである。取り扱い方を誤ると、あらゆる教育機関、とりわけ 子供の教育の中へ、この破壊的な力が混じりこむことだろう。そして、商業主義や、衝動のために、特に人間関係を破壊する力が混入する。この力は、人間社会 の中へ、ますます入りこんでくるだろう。」