筋肉が地上に刻み込むもの２０００年４月３０日
＊昨日の夕方、９日ぶりにトレーニングに行きました。前回も８日ぶりだったし、ここのところの忙しさがこれでも分かります。腰痛予防のストレッチ＋筋トレをするわけですが、普通は週２回です。腰痛（椎間板ヘルニア）歴２０年。カイロプラクティック、電気鍼、柔道系整体、中国気功整体、電気鍼＋置き鍼＋整体と回った挙げ句、最後の整体の先生が言った「ストレッチも大事だが、筋肉もつけないと駄目。このままでは１０年後が恐い」という言葉を受けて、近くのジムでメニューを組んでもらってトレーニングを始めたわけです。最初は筋肉痛だけでなく、あちこち小さな故障が起こりましたが、運動後の気分がいいので続けるうち、筋力が戻り、体も柔軟になって多少の無理が効くようになりました。誰にでも合う方法ではないでしょうが、元々筋肉があったのが、使わずに硬くなっていたせいで体全体が不調に陥っていたらしい私には、ぴったりでした。筋トレ始めて７年半になりますが、お陰でもう整体には全然行かないで大丈夫です。以前の酷さはこのＨＰの「病は気で治す」にある通りです。ほっておけば、通勤も無理になるような状態でした。今は１０年前よりずっと元気です。腰の違和感もありません。重い鞄も、釣り合いをとって両手に提げれば平気。ただ、２，３年前までなら、暫くトレーニングに行かないと、体がむずむずしてきたものですが、最近それがなくなってきました。意識的にやらないと駄目な段階に入ったようです。
本来、筋肉はそれを使って動きまわり、自分の意志を地上に刻み込むための道具です。例えば、町を清潔にしようと思えば、思っているだけでは駄目で、箒やビニール袋をもって町に出かけ、ゴミを拾うため、体を動かします。そのとき筋肉を使う。体を支える骨を動かすのが筋肉です。何をするにせよ、地上で行為するときは、体を動かすために筋肉を使う。その筋肉を使って成した営みが地上に結果として残ります。その人の意志が地上に刻み込まれたわけです。これが、その行為の性質に合わせてカルマを作っていきます。その行為が悪いものなら、悪い種を蒔くことになる。
それでは、筋肉が萎縮したり、麻痺して使えなければ、この世に種を蒔けないかというと、そんなことはない。頭部に残る筋肉を使って詩画集を出し続ける星野富弘や、宇宙論を提示するホーキンズなど世間の脚光を浴びている人ばかりでなく、どんな障害者でも、存在しているだけで周囲の意識を変えています。障害者の生活に触れることで自分が変わります。さて、筋肉の増強を自己目的化し、ひたすら肉体美を追求する人たちもいます。ボディービルダーたちが、マシーンを使って筋肉を動かすときは、夏の海岸で見せびらかす肉体美を夢見て汗を流すのでしょう。その時筋肉を動かしている「意志」は、全くの利己的なものであり、他人にその結果が還元される性質のものではない。重量挙げ選手の場合は、スポーツということも言えるかもしれませんが、近年の商業主義化したアマチュアスポーツは、選手の意識を変えてしまっています。ドーピング問題に垣間見られる、モラルの低下がそれをなにより語っています。
リハビリとしての筋トレは、何よりもまず、自分で動ける状態に戻すための補助手段です。そして上手くいけば、地上に種を蒔くことを再び可能にもしてくれる。