『宇宙人ユミットからの手紙』（中）
２０００年２月２９日
ユミットたちは北欧人のそっくりさ ん
最初の探検隊の地球体験
ウンモ星の様子
ユミットの身体
ユミットの言語
ＵＦＯ 着陸予告と偽造写真事件
ユ ミットの情報操作
破滅 する地球を救う
関連サイトなど
後書き
まず、読者にイメージを早めに提供するため、ユミットの外見について簡単に触れておこう。
彼らは、地球の北欧人そっくりの姿をしているため、服装さえ整えれば、外国人で通るらしい。彼らによれば、人間の姿 は、実は宇宙に普遍的なもので、進化の途上、かならず通過する関門のようなものだということである。宇宙の広大さと、無限に見える可能性から、我々は、炭 素を基盤にしない生命などを考えてみたり、SFでは、アメーバのような液体人間とかまでを想像したが、そういうことはないらしい。宇宙に住む知的生命は必 ず人間の姿をとるのだそうだ（『手紙』５２ページ）。シュタイナーも、人間の姿が宇宙に普遍的なものであって、この形しかとりえなかったと述べているのが 興味深い。
しかしユミットによれば、宇宙人の中には、いちおう人間型なのだが、見てすぐ奇妙だと分かるような体つきのものもいるらし い。それに比べれば、ユミットは人間型の典型である。
なお、外見からはすぐ分からないユミットと地球人との違いも、もちろんあるが、それは後述する。・高々度軌道から観察
（上）ではユミットたちが、地球に降り立ったところまでを紹介した。この（中）では、時間を少しさかのぼって、彼らの ３機のＵＦＯが太陽系に近づき、双子宇宙から浮上したところから見てみよう。もちろん、その真偽は別として、ユミットの手紙から再構成している。時は （上）で記したように、１９５０年である。
彼らはまず海王星、火星と探索するうち、地球から多量の電波が発せられているのをキャッチする。とうとうターゲットは 地球であることを発見したのだ。そして、地球から高度３５０㌔の軌道をめぐりながら、観察を始める（『手紙 Ⅱ』７８ページ）。
私が小学校の頃見た宇宙からの侵略を描いた日本映画でも、異星からの宇宙船はまず、地球をめぐる高々度軌道に乗った が、このシナリオは普遍的なものらしい。まずは観察である。
この時点でユミットたちは、まだ地球人については、キャッチした電波以外に何の情報も得ておらず、電波を操る人間型知 的生物がいるはずだということしか分かっていなかった。どんな動植物がいるかも分からなかったという。
なお、あとで判明することだが、ユミットたちが地球を初めて訪れたこの時点以前に、ウンモ星とは異なる、別の星から来た連中 が既に地球にいたそうだ。これが本当だとすると、その連中から、あらかじめ何の情報も得ていなかったわけだ。宇宙連合みたいな組織があって、情報を共有す るということはないのだろうかと想像したくなってしまうが、少なくても、この場合は、予期せぬ鉢合わせであったらしい。この別の異星人の正体については （下）で詳しく考察する。さて、ユミットたちは、高々度軌道をめぐりながら、まず大気を調べ、それが彼らの惑星のものと大変似た組成をもつこと を確認した。つまり生物が発生する宇宙に普遍的な条件のひとつがここにあった。
・見るもの聞くもの、目新しい、なんだこりゃ状態のユミット
まだ地上に降り立つ前の段階である。彼らは多分ゾンデを使って探ったのだと思うが、地上の様子を探り始める。道路や鉄 道網を認めたが、これを配送管と誤認する。（彼らの星では、物資の輸送には、その種の手段も使うからだ。『手紙』Ⅱ、１７１ページ）。
バハマ諸島上空を飛ぶ飛行機の映像を拡大して、食い入るように観察してから、スイスのモントルーの市街地の上空から初 めて人間の姿を捉える。胸のふくらみの有無から性別を知る。ここらは、肉体がそっくりだから分かることであろう。
記述が本当だと仮定しての話しだが、初めて異星を訪れた場合、どんな誤解が生じうるかは興味深いので、以下、暫く彼ら の初探検を、間違いに焦点を当てて追ってみることにする。
＊煙を吐き出す工場の煙突を見て、大気中に呼吸を楽にする成分を供給しているのかと思う。人間も円筒状のものを口にくわえ、同じよ うな化学成分の煙を出していたことが、その類推の根拠になった。（『手紙』Ⅱ、７９ページ）
（ユミットの鼻孔の中には、炭素を酸素に変換するカプセルが取り付けられている。『手紙』Ⅱ、８２ページ。）＊地球から大量にやってくる電信やラジオ電波が言語メッセージを表わしていると思っていた彼らは、その信号の多様さに戸惑う。モー ルス信号、各国語のラジオ放送などすべてが、ひとつの言語だと思った彼らは、それをコンピュータで解読しようと試みるが果たせない。おまけに北米上空では テレビ電波を受信した。かくして、モールス信号、ラジオ電波、テレビ電波の３種の電波に基づいて、地球には３つの言語があると結論づけた。地球に降り立つ 偵察隊員は、この訳の分からぬ３つの電波信号の断片を、この星の言語として暗記させられた。（ウンモには一つの言語しかない。ユミットがこれまで観察して きた惑星はすべて、ひとつの言語だったらしい。）
＊ゾンデによる観察で、地球の地域で人の肌の色が違うことを知り、驚く。儀式のためや病気感染を防ぐために肌を染めたのかと思う。 （ユミットの人種はひとつだけである。他の惑星もふつうそうらしい。大陸移動がなく、ひとつの平坦な大陸があるだけで、地域化が起こらないせいである。高 等生物の住む惑星で、大陸移動を起こすプレートの運動があるのは非常に珍しいことであるようだ。）
＊ユミットたちは、フランスのデイニュ市近くの丘陵に降り、そこに基地を作る。６名が駐留することになり、他の探検隊員は飛び去 る。高度６０００㌔のところで、双子宇宙に潜る時出す光を見届ける。
駐留部隊は、ようやく、コンピュータ分析するに足るほどの現地の言語情報を集めることができた。こうして６人は見つからない ように、人家から数百メートルのところまで近づいてみる。そこで糞を発見する。その近くに、黄色くなった新聞紙があった。ひとりのユミットは、これは新聞 記事の内容を批判する時の儀式的行為なのではないかという仮説を出す。ちなみに、この新聞紙は、地球上で最初に発見された記念物として、惑星ウンモで冷凍 保存されている。（ユミットたちは、子供の時から肛門に、大便をヘリウムガスに変換する器具をインプラントしている。彼らはヘリウムの屁をする。『手紙』 Ⅱ、８６ページ、１７１－１７２ページ）＊その新聞（１９５０年３月２５ー２６日付けのフィガロ紙、日曜版）に載っていた写真の人物たちの服を三次元コピー機で合成する。 ６名の探検隊はそれを着て、遠征し始めるが、その服が酷く時代遅れのものであることに気づいて、慌てて引き返す。モデルにした新聞の写真は、演劇公演を写 したものだったのだ。つまり彼らは、何世紀か前の登場人物をあらわす舞台俳優の格好をしていたのだろう。（『手紙』Ⅱ、８６－８７ぺージ）
さて、ユミットの探検隊が地球を訪問して、初めは戸惑いの連続だったことを前章で紹介した。それならば、彼らの故郷の 星、ウンモはどんな様子をしているのだろうか。その様子を手紙に即して見てみよう。
その前に、断っておきたいが、今から述べる惑星の様子を信用できないと思う人も、この宇宙には、人間型の知的生命が住 む惑星は、それこそ五万とあるいう事実を考えてほしい。これは純粋に確率の問題であって、数学的事実である。ひとつの銀河に現在、人間レベルの生物がいる 星は天 文学者たちの控えめな計算によると、４０個。全宇宙に、数千億個の銀河があるから、地球のような惑星は、今この瞬間に、全体で少なくても数十兆あ るわけだ。進化の都合上、すべての惑星に、地球のような大気があり、海があると思われる。植物も、動物もいる。ということは、数十兆の惑星ひとつ、ひとつ が、多少の違いはあっても、大体地球のような様子をしているということである。そのすべての情景を想像することはほとんど不可能だろう。少しづつ違う、奇 妙なところがある動物、見たことがない色や形の植物、いろんな背丈の人間、顔の様子がすこし変な人間、思っただけでめまいがする。でも、本当に存在するの だ。数十兆もあれば、大体すべての場合は出つくしていると思われる。今から述べることが、たとえ本当でなくても、必ず、数十兆の惑星の中には、そのような 星があるはずだ。信じられない場合でも、以上の意味で、その表現には真実が潜んでいるのである。
＊ウンモ星は、地球より少し大きい惑星である。引力は地球より２０パーセントほど強い。地球人が降り立ったら、体重５０㌔グラムの 人は６０㌔グラムの重さになってしまう。歩くとき、１０㌔分の荷物を背負った感じで、足がずしっと重いだろう。
磁場は地球の１０００倍以上も強力である。そのため、オーロラが夜空に常に現れていて、ユミットたちは、「空にかかったこの 大きくて色鮮やかなマフラーを、いつまでも眺めて飽きることがない」そうである。惑星ウンモには月がないので、夜空の景観は、星の輝きの他は、オーロラが こしらえている。火山は活動していないが、かわりに大きなクレパスから、地殻の下のメタンとペンタンが吹き出て、大気に触れて燃えあがっているという。炎 は数百メートルから６㌔の高さにまで昇る。夜は凄い景観になるだろうと想像される。
ウンモが回る恒星イウンマは、太陽の５分の４ほどの質量しかない矮星である。表面温度も４５００度（ 太陽は５８００度）しかない。地球と太陽の距離は１億５千万㌔だが、あまり熱くないたき火には、近づかないと暖がとれないように、ウンモは、ずっと近いと ころを回っている。公転するのに、２ヶ月半しかかからない（『手紙』Ⅱ、１６６ページ）。言わば、１年が２ヶ月半なのだ。自転軸の傾きは１８度（地球は ２３度）であり、季節の変化はあるはずだ。しかし、２ヶ月半でくるくる変わる季節は、地球の春夏秋冬とはずいぶん違ったイメージだろう。計算すると、ひと つの季節は１９日ほどである。
惑星ウンモの表面には、大きな大陸がひとつあり、残りは海と小さな島々である。大陸は褶曲しないので、平坦である。陸地の割 合は、４割近い（地球では３割）。海は浅い。海洋哺乳類が生息している。内陸性の気候であり、常に強い風が、遮る高い山のない平坦な大陸を吹き渡ってい る。「惑星ウンモの風景はアイルランドに似ている」そうだ（『手紙』８３ページ）。寒暖の差が激しく、夜は赤道付近でも、摂氏でいうと、数度だという。植 物は種類は少ないが、丈が大変高いそうだ。高い木々が強風にしなっていることだろう。爬虫類ではトカゲの一種が這い、空にはコウモリのような飛行哺乳類が 飛んでいる。地球の鳥に相当するものは存在しない。チンパンジーより知性の発達した類人猿がいる。
１日は３２時間。自転が地球より６時間遅いわけだが、もし毎日、６時間余計にあったら、その時間を何に使おうかと考えると楽 しい。ユミットたちは、もともと労働時間は１日３時間ほどである（『手紙』Ⅱ、１８０ページ）。彼らの住居は普段は地下にある。その住居は、自動的に地上 に顔を出すこともできる。
・日本映画「地球防衛軍」のこと
この住居のイラスト（『手紙』８１ページ、『手紙Ⅱ』１７０ページ。ユミットの指示で地球の協力者が描いたものらし い）を見ると、昔見た日本映画「地球防衛軍」に出てきた異星人の基地を思い出す。もう細部は忘れたが、地球に侵入してきた異星人が地下に基地を作ったのだ が、その基地の上部のドーム状の部分が、にゅうと地上に姿を現し、そのプラネタリウムのドームのような湾曲した壁面から怪光線を放って、近づくものを焼き 払う。防衛軍は、マーカライトという大きな反射鏡を作って、その光を反射して対抗する。マーカライトは、お椀型レーダーを横に向けた形で、下に脚部がつい ていて、先の足にあたる部分にはキャタピラがあり、動けるようになっている。この映画を小学校の時に見て、防衛軍と異星人の戦いは何度も絵に描いて反芻し たから、比較的良く覚えている。異星人の作ったもぐら型のロボット、モゲラがマーカライトの足元から顔を出して、ひっくり返したりもした。
脱線はこれくらいにするが、しかし、考えてみると、この映画の上映が１９５７年ぐらいだったと思うので、時期的には、ユミッ トがまだスペイングループと接触を始める前である。手紙の内容が本当だとすると、ユミットはこの間、地球の各国語を習得し、書物を研究し、風習を調べたり もしていたわけだから、日本人の異星人観を調査する目的でこの映画も見たかもしれない。何しろ、彼らの星の食べ物の味は日本食に一番近い（『手紙Ⅱ』 １７０ページ）と言っているくらいだから、日本潜入は確実である。もしこの映画を見ていたら、一見自分たちの住居に似た基地が、同じように地下からせり上 がってくるのを見て、ぎょっとしたかもしれない。地球人（日本人）の想像力も案外、直観に近いものであったと言えよう。なお、１９８８年１月２０日にホルへ・バラネチュア宛の手紙でユミットは次のように書いている。
「イタリアの豊かな芸術についての情報は、ウンモ星にも報告が行っている。芸術の創造性については、インドと日本を除いて、これほ どわたしたちの注意を惹いた国はない」（『手紙Ⅲ』３６４ページ）。
ということは、日本の芸術はインドと並んで、彼らの注意を真っ先に惹いていたことになる。特撮映画はともかく、日本の 伝統芸能や美術品を彼らが理解したということなのだろうか。
・彼らの恒星イウンマは、乙女座にあるＷＯＬＦ４２４なのか？
赤経１２度３１分１４秒、赤緯＋９度１８分７秒にある絶対等級１４．３、スペクトルＭの星ＷＯＬＦ４２４がイウンマで ある可能性があるとユミットは言っているそうだが（『手紙Ⅱ』表紙裏のデータ）、これは怪しい。ひとつは、地球の観測手段が未熟のため、そもそも捉えられ た星を確認できないことがある（ユミットが「らしい」と断定しない根拠に、その観測精度の悪さが挙げられている）。もうひとつは、ユミットが本当のことを 言わないでいる可能性がある（プチ氏もこの意見。ユミットの情報操作についてはまた後程言及する）。１９９６年６月のハッブル望遠鏡の観測では、この星は 褐色矮星の連星であることが判明した（プチ氏の支援組織ＧＥＳＴＯのサイトから、当該のＮＡＳＡのサイトへ飛んで確認してある）。名前も ＷＯＬＦ４２４ＡＢとなっている。褐色矮星は質量的に、木星よりは大きいが、太陽のように核融合を起こすほど大きくない星である。この結果から、生物が住 む惑星が存在するには不向きであるようだ。
・金髪で白い肌
メラニン色素が少ないので、彼らは金髪、白い肌をしていて、地球でも、北欧人ということで通るらしい。この特色は、彼 らがウンモ星において、地下で生活する夜行性の生態を持っていることと関わりがあるだろうとプチ氏は推測している。
・声帯が退化しているユミット
みたところ北欧人そっくりのユミットだが、いくつか地球人と違うところはあるそうだ。まず、その声だが、マドリッドの 集まりでテープに吹き込まれた、ユミットらしき電話の声は尋常なものではなかった（『手紙』９３ページ）。鼻にかかった、抑揚のない声だ。プチ氏はその テープをエクス・アン・プロヴァンス大学の音声学の実験室で分析してもらった結果、人間の声ではないとの判定が出た。波形からいって、シンセサイザーかボ コーダーを使って声を変えたものだという。手紙によれば、ユミットたちは思春期になると、声帯が硬化して、声が出なくなるので、それ以降はアンプの役割を するインプラントを舌の裏側に植え込んであるそうだ。それで微かな音を拾って胸のところに吊るしたスピーカーに伝えるのである（『手紙Ⅱ』１１７－１１８ ページ）。
（ユミットが本当に存在するとして、せっかく地球人の間に紛れ込んで活動しているのに、その目印になるようなことを、 ここで鏤々描き連ねるのも気がひけるが、既にプチ氏らが公表しているのだから、内密にするのは意味が無いだろう。）
・髪に特別な化合物が含まれている。
彼らの髪の毛には、特別な化合物が含まれている。その化合物は、ベンゼン環が３つ横並びに並んだものに、酸素原子や ＯＨ基、ナトリウムなどがついている（正確な化学式は『手紙Ⅱ』１８９ページ）。血液成分も炭酸ヘモグロビン濃度が７７パーセントという大きな違いがあ る。これらのデータから、もし彼らの死体があれば、身元を割り出せるだろうとプチ氏は言う。
・嗅覚が非常に発達している
ふつう嗅覚は下等な感覚器官のように言われているが、知性の優れたユミットにあっては、これが非常に発達している。そ のため、彼らは個々の香りの変化を楽しむことができ、「香りのコンサート」に行って楽しむこともあるという（『手紙』９６ページ、『手紙Ⅱ』１８６、 １９６ページ）。
「われわれの惑星では香りを様々に調合する芸術が発達した。われわれの嗅覚はあなたがたよりずっと貪欲で、数千種類の香りのエッセ ンスを嗅ぎ分けわけることができるのだ。”香りオルガン”による香りの音階を作って楽しむばかりか、その音階が時間の流れとともにどう変化していくかも楽 しんでいるのである。」（『手紙Ⅱ、１８５－１８６ページ）
彼ら自身には体臭がないので、地球の犬に怪しまれないよう、合成した人間の体臭をつけている。嗅覚上皮には１平方セン チあたり３８０００個の感覚細胞が詰まっていて、種類や構造も違うらしい（『手紙Ⅱ』１８９ページ）。
・赤外線を感知できる
彼らは、周波数６．２３×10（の１１乗）ー９．８×１０（の１１乗）ヘルツ（３００－４８０ミクロンの波長）の赤外 線を感知する器官が皮膚にあるという。体のいろいろな部位についているらしい。（『手紙Ⅱ』１９２ページ）
彼らの言語の仕組みは極めて難解である。もちろん表面の言葉の流れで意味が伝達されているのだが、それとは別に、同じ その言葉の流れに、別の意味が込められていて、同時に全く異なる二つの情報を伝達できるというのだ。それを手紙では、「二重のコードをもつ二重共時態の言 語」と呼んでいる。プチ氏は彼らの言語について次のように言う。
「ユミットの言語は意味と頻度の二重のコーティングによるものだそうだ。つまり同じ会話に二つのタイプの言語が符号として含まれて いるのだ。」（『手紙』１３７ページ）
「彼らのコンピュータも言語と同じ仕組みであり、デジタルでもアナログでもなく、デジタルであると同時にアナログでもあるというも のだ」。（『手紙』１３９ページ）
彼らが伝える文字との関係は分からない。他に伝達手段として、テレパシーが用いられるが、これについては（下）で述べることにす る。
手紙がどういう人の手に渡り、どのように調査されたかも大切なことである。テキストと自分の解釈を区別しないような人 の判断は、そのまま受け入れるわけにはいかない。手紙は最初１９６２年から１９６７年にかけて、スペイン人の著名な神秘家セスマのもとに送られてきたが、 この人は、まさにその区別をしないタイプの人であった。なぜそんな人間に手紙が送られてきたかは、（下）で述べるが、ひとつには、手紙を送っても他には誰 も関心を示してくれなかったからだそうだ。セスマに手紙を送る数年前、カリフォルニアのパロマ天文台に送った、双子宇宙論を伝えるウンモの手紙は、すぐく ずかごに捨てられてしまったという。
どの手紙にも末尾に、漢字の王に似た印が押してあった。この印が、この事件のひとつの鍵になる。
セスマは手紙の内容を「愉快な鯨」というカフェーで、毎週仲間に朗読して聞かせていた。プチ氏はセスマ宛ての手紙を多数入手したが、その中で、手紙の書き 手が、内容を伝えるに当たって本文とセスマ自身の創作とを切り離してほしいとセスマに、懇願していることを発見している。
ついで、その仲間にも手紙が送られ始める。１９６７年の春には、スペインのＵＦＯ研究家のアントニオ・リベラがこの事件を知 ることとなり、調査を始める。セスマ宛てには，ある手紙によると、１９６５年から電話による接触も始まったという（『手紙』Ⅱ３６ページ）。１９６７年５月３０日にセスマに送られてきた手紙で転機が訪れる。その手紙に新たなＵＦＯの飛来日時が記載されていた のだ。手紙には次のように書いてあった：
「われわれの計算では惑星ウンモからの宇宙船が降下するのは、グリニッジ標準時１９６７年５月３０日午後９時から１９６７年 ６月３日午後１１時６分の間(予測可能な誤差を考慮して）である。３機が到着する間隔は、７時間プラスマイナス２０分を越えないであろう」
３つの着陸地点のひとつに、マドリッド周辺、半径４６キロの範囲、その中心は西経３度４５分２０．６、北緯４０度２８ 分２．２の地点とあった。（以上『手紙』７５ページ）
セスマはすぐにメンバーに連絡し、ＵＦＯ飛来の予告が実際にあったということを証明するために、みんなで文書を作って 署名する。
（なお、以下に引用されているシュナイダー（電子工学技師）とマルターナー（著述家）の本『ＵＦＯの世界』では、事件の１１日前、 １９６７年５月２０日の「インフォルマチオーネス」誌に，５月３０日と６月１日の間に宇宙船が着陸するだろうとセスマが書いているとある。そうだとする と、予告の手紙はプチ氏が言う５月３０日でなく、５月２０日以前ということになる。シュナイダーたちが参照したはずのアントニオ・リベラたちの『完全な ケース』の内容が正しいのか、プチ氏の言うことが正しいのか、目下のところ分からない。プチ氏はファリオルスと親しいので、間違ったことを書くとも思えな いが、ファリオルスは『完全なケース』の共著者でもあるのだ）。
こうして待ち構えているところに、ＵＦＯは本当に予告された期間中マドリッド近郊に出現して多くの人に目撃され、大騒 ぎとなる。残念ながらメンバーはこのＵＦＯを目撃できなかった。さきに名を挙げた、ＵＦＯ研究家のアントニオ・リベラと、ラファエル・ファリオルスがこの 件を調査し、『完全なケース』という本で報告する。
以下に『ＵＦＯの世界』（アドルフ・シュナイダー/フーベルト･マルターナー著、金森誠也訳、啓学出版）から、この時 のＵＦＯ出現の様子を引用する。（なおこの本の原書”Das Geheimnis der unbekannten Flugobjekte"は１９７６年に Hermann Bauer Verlag[ Freiburg, Germany] から出版され、１９７９年に翻訳が啓学出版[佑学社が母体]から出たが、翻訳の方は佑学社がつぶれたため、今では手に入らない。）
H印のUFO訪問
（飛来したＵＦＯについていた印は漢字の「王」か、占星術の海王星の記号に似ているのだが、アルファベットの「Ｈ」という表現に なっている：論者注）
「 アントニオ・リベラとラファエル・ファリオルスは,１９６６年と１９６７年マドリッドの近郊で起ったＵＦＯ目撃とその着陸という衝撃的で,しかも事実の裏 づけが完全に行なわれた出来事を『完全なケース』という題の本の中で記述した。１９６６年２月６日午後８時が事件の発端であった。マドリッドの郊外アル チェの自動車道路沿いに直径約１２メートルの弱々しく光る丸い物体が飛んできた。一団の兵士と住民がその有り様をながめていた。夜警のホワン・J・ディア スは,着陸した飛行物体のドアが開かれ,その後ただちに閉ざされ,ついで物体が空中を上昇していくのを見た。飛行物体を車で追跡しようとしたホセ・ルイ ス・ホルダンは,自分が３人の着陸者と飛行物体の胴体に大きなＨという記号があるのを見たと述べた。ＵＦＯの上昇後,発電機のような音が聞こえたが, ＵＦＯは突然かき消すようにいなくなったとも語った。マドリッドの記者は翌日,ＵＦＯ着陸の痕跡を写真にとった。大地に押しつけられた痕跡はタテ３０セン チ,ヨコ１５センチ,深さ１２センチの直方体であった。押しつけられた地面の表面には対角線状の隆起があった。ＵＦＯの脚部が地面を押しつけた個所はそれ ぞれ三角形の頂点をなし,一辺はいずれも６メートル以上あった。
翌年６月１日,サン・ホセ・デ・バルデラスという小さな城の近くの林のあいだで,数十人の人々が思い思い遊ん でいた時,木々の上空に巨大な丸い物体が現われた。しかもこの物体の底部には,アルチェ着陸以来有名になった,あの黒いＨ印がついていた。午後８時 ３０分頃であった。人々は立上り,沈みゆく夕陽の輝きの中で１２分間もフワリフワリと浮遊する光る物体をみつめていた。このときは着陸用の脚は, 出ていなかった。ちょうどガールフレンドの写真をとっていた若い男はカメラを上空に向け,一連の写真をとった(このフィルムのネガ５枚は次の日,記者のア ントニオ・サン・アントニオによってある写真家に送られた。アントニオ記者は絵入り雑誌「インフォルマチオーネス」でこれを公表した。撮影者は匿名を希望 している)。若い男とは別に,アントニオ・パルドは自分も車から愛用のカメラを取ってきた。パルドは出来ばえの良い写真を７枚とった。彼の妻と娘は興奮し てＵＦＯの行方を追った。翌日パルドは,以前から目撃談を知らせてほしいという「ＵＦＯ」関係の著述家マリウス・リゲットの呼びかけを思いだし,リゲット に最良の写真２枚にくわしい報告を添えて送った。パルドは,オレンジ色をしたＵＦＯは目撃者たちの頭上でほとんど静止し,あちらこちらをぶらぶらと行きつ もどりつしながら浮遊し,最後にはものすごいスピードでマドリッドの方向に飛び去ったと報告した。
かくして４キロ離れていたこの目撃者の新しい冒険が始まった。ＵＦＯはマドリッド近郊のサンタ・モニカの建築現場に着陸し た。レストラン「ラ・ポンデローザ」の経営者ムニョスは,近くに火の球が落ちたと主張した言葉をはじめは信じなかった。そのあと２組のアベックが興奮して 駆け込んできた。娘同士は泣きじゃくり,たがいに抱きあった。青年２人は巨大な火のかたまりみたいな物体が彼らの頭の真上を飛び,３つの脚を出し,数秒 間,彼らのすぐそばに着陸したと言った。今度は１組の夫婦が似たような知らせをもってレストランにやってきた。その夫はＵＦＯの胴体に示されている「Ｈ」 という字を紙に書いた。翌日レストランのマスターの義理の兄がＵＦＯ着陸の痕跡を発見した。これはアルチェのと同じ３個の脚で地面を押しつけたあとであっ た。痕跡の近くの地面はいくらか焼けただれており、粉末でおおわれていた。」（『ＵＦＯの世界』１３０－１３９ページ。金森誠也訳。「若い男」の撮った連 続写真６枚と、着陸痕の写真は同書１３３－１３８ページに載っている。）なお「若い男」が写したという写真は、多くの人の目にふれ、有名になったが、プチ氏の本ではその写真は次のように届け られたことになっている。
「事件後しばらくすると、マドリッドの新聞社に一人の男が現れて、着陸のときの写真があると言ってきた。写真は本人ではなくて、匿 名希望の別の人物のものであり、自分は新聞社に持っていくように依頼されただけなのだそうだ。つまるところ、誰もこの写真を撮影した人物を知らないわけ だ。写真は世界のあちこちで公表された。宇宙船が欠けるところなく鮮明に写っていた。そして接触者が受け取ったどの手紙にもある惑星ウンモの略号が、あり ありと見えた。」（『手紙』７７ページ）
この写真は実に鮮明で、本物なら嬉しいが、残念なことにどうやら偽ものらしい。スペインのＵＦＯ研究家オスカル・デ ル・ブレアルやフランスのクロード・ポエルらが合成写真ではと疑い、アメリカのＵＦＯ研究グループＧＳＷが、それらの写真をコンピュータ分析した結果、プ ラスチックの皿を透明な糸で吊るしているのだろうという結論を出した（「世界ＵＦＯ大百科」学研、吉住元文責、１５９ページ）。
プチ氏によると、１９７７年にフランス国立科学研究庁のなかに未確認航空宇宙現象研究グループＧＥＰＡＮが創設されてから、 クロード・ポエルがデジタルミクロフォトメーターという機械でこの写真を分析し、ＵＦＯはミニチュアを糸で吊り下げたものだと判明した。ポエールの結論 は、「ウンモ事件とはそもそも科学者たちが寄ってたかってでっちあげた、壮大な冗談にすきない」というものだった（『手紙』７８ページ）。しかしここからが、ややこしいのだが、後の手紙でユミットたちは、「この写真は自分たちが撮ったもので、今でも保存し てある。もちろんトリックを使っているが、それはこの着陸事件があまり深刻なものにならないよう、情報操作しておいた」（『手紙』７８ページ）というの だ。ユミットたちは初期の手紙の中で既にこんなことを言っているのである：
「われわれが必要と判断するときは、ある種の情報を偽ったり、真偽が見分けられないように撹乱する権利を保留する」（『手紙』７８ ページ）。
このＵＦＯ飛来事件を見た沢山の目撃者がいたことは確かなようだが、世界中に「物証」として広まった写真が偽もので は、飛来事件そのものが疑われてしまう。これもユミットたちの意図のうちだというのだろうか。なお、写真撮影者の謎が残る。『完全なケース』の中で述べら れている「ガールフレンドの写真を撮っていた若い男」の存在はちゃんと裏づけがあるのか。伝聞だけなのか。プチ氏の言う新聞社に写真を届けた男は、その若 い男から写真を預かったのか。それとも身元を偽るために預ったふりをしていただけなのか。ユミットが写真を作ったというのなら、撮影者はそもそも存在せ ず、ネガを新聞社に渡したのはユミットのはずだ。新聞社に現れたのはユミットだったのか。届けた男にネガを預けたのがユミットか。確認しようがないことが 多すぎる。
しかし、この件と関連して、以下にユミットの情報操作について述べておく。
・他惑星の歴史には干渉しない
よくある議論に、もし異星人が本当に地球を訪問しているとして、それではなぜ彼らは地球人の前に姿を現わさないのか。 堂々と現れて、地球人の狭隘な世界観の蒙を啓けばいいではないかというのがある。しかし、これまで異星人が、そのように公に現れることはなかった。否定論 者は、だから、異星人は来ていないのだと結論付ける。
ユミットは手紙の中で、圧倒的な先進文明と接触した場合、遅れている方の惑星に大混乱が生じると言っている。基本的に、他惑星の歴史には干渉しないのが、 宇宙の倫理となっているので、表立った接触はしないというのである。そこで、科学情報も、手紙で小出しに出して、時間をかけて伝えているということらし い。・保守的で変化を求めない地球人のメンタリティーを利用する
ユミットは何度か、マスコミに自分たちの情報が流されて、危険を感じたことがあった。しかし地球人が、ちょっとした反 証があれば、すぐ、全部を否定するような非論理的な知性しかもっていないことに気づくようになった。これは、信じられないような現象だったが、彼らは地球 人のこのメンタリティ－をおおいに利用する。活動しやすいように、偽情報を織り込んで、情報操作し、正体が追及されないようにしたのである。
・間違った情報を交えて、すべてを疑わせる
ユミットが科学情報を手紙で伝える場合も、情報源を追及されないような配慮がなされた。間違った情報を混入して、すべ てを疑わせる手法である。
「われわれの選択した解決方法は、接触者たちに教育的配慮に基づいて、われわれの科学モデルを分かりやすく解説しながら、決定的な 証拠につながるような要素は注意深く除く、というものである。また手紙の発信源を曖昧なものにするために間違った要素を混入して、彼らの疑いを特定の国や 制度や人物に向けさせる、というものである。」（『手紙Ⅱ』３１－３２ページ）
「マスコミがわれわれの手紙に必要以上に注目するような場合にも、情報操作を行えば何の心配もないことが分かってきた。」（『手紙 Ⅱ』３５ページ）
しかし、言っていることが本当だとして、こんなことまでバラしていいのだろうか。手の内をここまで公開する連中のメンタリティーも、普通とは言えないので はないだろうか。これが、過剰なほど知的な異星人のやり口なのだろうか。
地球人が、いかに証拠を突き付けられても、それを無視して、狭い世界観に止まる安逸さを選ぶことは、残念ながら本当のようで ある。その特性があれば、このように手の内をバラしたって、そもそも異星人の存在自体を信じていないのだから、何ら恐れる必要がないと多寡をくくっている としたら、地球人もずいぶん侮られたものである。
・よりによって最も愚かな人間が権力を握っている
地球人の脳には、動物から受け継いだ旧脳系の本能的行動がプログラムされていて、彼らのようには合理的に行動できない と解剖学的所見を述べたあと、手紙（１９８８年１月３０日付け）は次のように続ける。かなり長い引用になるが、人類の現況を厳しく批判する言葉として傾聴 に値すると思う。
「この種の構造は、攻撃的態度もしくは強迫的態度を誘導する。…旧脳のこうした行動によって、人は非合理的な振る舞いに及ぶ。しか も祖先たる哺乳類には見られなかったような感情的要素がそこに加わるだけに、いっそう危険なものとなるのである。
…他人の権利を完全に無視した富の蓄積への狂奔なども、これで説明がつく。
われわれは、すでにあなたがたの知っていることを繰り返しているにすぎない。地球のテクノロジーの最先端や、組織の方法や、 広範な情報は、動物的旧脳の神経系を持った無責任な頭脳の持ち主の手中にある。だがそれは年端の行かぬ子供の手に、強力な爆弾を握らせているようなものな のだ。
あなたがた地球人は、常軌を逸したやり方で、＜社会秩序＞を築き上げた。しかもテクノロジーや、経済や、情報を実質的に操作 しているのは、創造的知性ではない。あなたがたの社会にあって最も病的で、最も時代錯誤的な連中なのだ。おまけに宗教団体の狂信的指導者が正直な科学者の 代わりに倫理的法則の守護者となり、自分たちの気まぐれと利益に応じてこの倫理法則をねじ曲げている。まったくもって愚の骨頂である。
経済の実質を握った幾人かの権力者が、地球の社会組織全体を陰で操っている。権力とは無縁の個人もしくは集団による思想や、 創造や、モデルなど、何であれ結局はこの権力者によって吸収され、管理されるのだ。
もし思想、哲学、システム、科学モデル、テクノロジーのコンセプトがこれら権力者の利益に沿わなかったり、影響力が大きすぎ たり、彼らの宗教的、政治的、経済的支配の鉄の構築物に亀裂を生じさせる恐れがあったりする場合には、この利益集団は強力な手段に訴える。それらのコンセ プトの信用を落とし、モデルの開発を阻止し、応用と普及を防ぐのである。
逆にもしそのアイデア、もしくはモデルが自分たちの利益にかなうと判断されるならば、今度は大急ぎでその応用範囲を改変しよ うとするのだ。例えばあなたがたの言う第三世界の悲惨さを軽減し、深刻な病を治し、エネルギーの不足を解消し、生活水準を向上させられるようなシステム は、たちどころに軍事目的のテクノロジーや、企業家集団に最大限の利益をもたらすような方向にのみ集中的に利用されてしまうのだ。それが市場に大きな混乱 を招き、ひいては社会の潜在能力を活用しうるような他の企業の足かせにもなるのである。
…あなたがたにどれほどの時間が残されているのか。腐敗した政治家や、貪欲な企業家や、秘密警察や、軍事施設が、今何をして いるのか、あなたがたに想像がつかないはずはあるまい。」（『手紙Ⅱ』１８－１９ページ）現実の世界の政治・経済、あるいは日本のそれと照らし合わせてみて、実によくその状況を言い当ててはいないだろうか。
われわれも、小さな地球の現実世界とやらに無節操に適応しているのでなく、異星人がとりえるような、高い志をもって、この現 実に、ラジカルな批判を向ける必要があるのではないだろうか。さもないと、人類が今後どうなるか、分かったものではない。・いざとなったら地球を制圧
前章では、地球的な妥協を排除した、鋭い現実批判が異星人から（あるいは、これが異星人のものでなくても、異星人的な 視点から）なされていた。地球的な意味で言うと、或る種の純粋で若い批判力と言えるかもしれない。
しかしさらに、もし危険が切羽詰まったら、地球の滅亡を阻止するため、異星人がその高度なテクノロジーを用いて、地球各国の 政府組織を一時的に鎮圧する行動にでるというような想定は、いささか空想的かもしれない。少年が空想するＳＦ的な非現実性が感じられるかもしれない。しか し、もしこれが本当にありうることだと思うと、複雑な気持ちになる。助けてもらえるのは有り難いが、その介入は、自力再生が不能であることの宣託でもある からである。いわば破産して、すべてが管財人の手に渡ったようなものである。
以下は前章と同じ１９８８年1月３０日付けのユミットからの手紙の一節である。「解決として効果的なのはわれわれのような銀河系の種族とか、地球を訪問している別の種族が介入して、地上の権力を掌握することで あろう。…われわれには強力な強制手段がある。１８人を越えない集団（現在地球に滞在している探検隊の数）が、惑星ウンモの適切なテクノロジーをもってす れば、世界の超大国の政治的指導者層をひざまずかせ、権力を掌握することは十分に可能である。
…われわれは地球のために特別に開発された科学的モデルに従って、地球社会の改造に乗り出す。」（『手紙Ⅱ』２０ページ）さて、かつて地球上では社会主義というイデオロギーが社会科学を名乗って世界を改造しようとして挫折した。理念を実現 しようとする人間精神のレベルが変わらなかったからである。果たして異星人の、上からの改造は、首尾よくいくのだろうか。
彼らの想定では、第一段階で、現在の各国の政府は維持されるが、彼らの中央政府の指令に絶対服従の義務がある。脳皮質の構造 を基準に選ばれた地球人を彼らのセンターで研修させて、世界各地に配属し、統治を委任する。
第二段階では、抵抗運動が発生するだろうが、脳神経の活動を麻痺させる装置で鎮圧できる。抵抗する者は再教育センターに送り 込む。しかし、地球人が全体主義の貫徹のために考え付いた悪しき収容所をイメージしてはならないだろう。「そこで行われる手当ては、当人にとってしごく快 適なものである」（『手紙Ⅱ』２１ページ）。
地球の子供たちを毒されないうちに親から隔離して教育する。その際、惑星ウンモの影響は極力排除し、地球固有の文化に基づい て教育する。宗教としてはキリスト教の教えを徹底する（イエスに似た存在がかつてウンモの歴史にも登場している）。軍需施設は民生用に転換され、生産手段 は国境のない共有のものとなる。企業は共同組合に変身する。
次の段階では、管理運営は地域社会に委ねられる。「民主的な方法で選ばれた集団指導体制に移行する。」市民がこれを監視す る。
第三段階では、経営モデルと、経済・気象・社会・環境などを関数にした所得配分モデルが示され、経済活動が集中化される。彼 らは単なる後見人兼相談役となる。彼らが選んだ人間が国際議会の議員となる。ユミットの派遣部隊は、大きな誤りがあった時だけ注意を促す役目をし、情報提 供という形で中央政府に協力する。
もっとも、警察力はユミットの管轄下にある。地球警察には脳神経を麻痺させる装置を貸与する。
新しい司法制度を導入する。犯罪者には、イエス・キリストの教えに基づいた心理的再教育を施す。これは、終戦後の占領軍の占領政策そのものだが、果たしてうまくいくのだろうか。ユミットは同じ手紙で次のように言う が、このような介入がなされなように、地球の問題は地球人が、自力で解決したいものである。
「このような介入モデルは、もちろん仮定の話しである。われわれがあなたがたの社会の自然な進歩の条件を乱すような決 定を下すことは、絶対にないであろう。ただし核戦争や、プラズマ兵器や生化学兵器によって、社会機構が破壊される危険が差し迫っていると判断した場合に は、われわれは本気で介入しようと考えているし、介入することになるだろう。」
プチ氏の公式サイト：http://www.jp-petit.com/
プチ氏のメール・アドレス（科学的な質問、批判など）：science@jp-petit.com/
ユミットを紹介するサイト：http://www.multimania.com/ummo/menuen.htm
プチ氏宛て個人的なメール・アドレス/プチ氏を支援する団体ＧＥＳＴＯのメール・アドレス/：perso@jp-petit.com/
（上）が去年の８月に出てからず随分時間が経ってしまった。その間、コラムなどに力を注いだせいで、なかなか続きに着手できずにい た。２月も終わりに近づいて、少し集中して書いたが、分量が多くなったので、今回の部分だけで（中）としてアップすることにした。（下）は「セスマをめぐ るもうひとつの異星人」「ユミットの世界観」「ＳＬ９は反物質爆弾だったか」の三章になる予定。これは３月中に、なるべく早く仕上げたい。
２０００年２月２９日（４００年に一度の特異日）記