クラゲ 猿アンディ
イ ギリスで人の胚利用が許可
「クローン人間 １，２年で」
ラエリアン
クローン人間 批判（BS２３）
遺 伝子改変ベビー誕生
「“ク ローン人間”の未来」(サンデー毎日）
遺 伝子改変ベビーに染色体異常
ホ ウレンソウ豚・クローン猫
ク ローン人間、妊娠か
ク ローン人間は人権をもった人間
クローン人間は、今年１２月か 来年１月に産まれる
初 のクローン人間 セルビアで誕生へ
ラ エリアン・ムーブメントがクリスマスにクローン人間の赤ちゃんを産ませる
ついにクローン人間誕生！
２人目誕生
３ 人目の日本人クローン男児は日本で誕生？
４，５人目誕生？
２００１年１月１６日（火）
＊クラゲの遺伝子を組み込んだサルが生まれた記事をご覧になりましたか？ 朝日新聞では今年１月１２日の朝刊に載りました。同じ日に「サイエンス誌」に発表されました。
アメリカ・オレゴン霊長類研究所のグループのしわざです。霊長類での遺伝子組み換えは、初めて。蛍光蛋白質をつくるク
ラゲの遺伝子をアカゲザルの未受精卵に組み込んで体外受精させ、胎内に入れて発育させたのです。クラゲの遺伝子が確認された子ザルはアンディと名づけられ たとか（Andiは、逆に読むと、IDNA。これは Inserted DNA の略で、要するに「インサートされたDNA」という意味)。以前、蛍光クラゲの遺伝子を草に組み込んで、光る草を作ったことがありましたから、今度はサル の毛を光らせようとしたのでしょう。遺伝子の量が少ないせいか、光らなかったそうですが。毛の光るサル誕生という劇的効果を狙った実験であったことは明ら
かです。グループは、人間の病気の原因となる遺伝子をサルに組み込めば、治療法の研究動物として使えると主張していて、そのための一歩を踏み出したつもり のようです。病気治療法の開発のためという名目があれば、何をしても許されるのでしょうか。
遺伝子組み換えを行っているアメリカの科学者たちは、人間が他の動物と違う点を遺伝子レベルで解明しようとしています。精神の働きに関る遺伝子を特定しよ
うというのです。この思考法では、人間の精神もDNAの配列という生物物理的な次元に還元されてしまう。彼らにとっては、病気の原因となる遺伝子も、精神
の働きの一翼を担う遺伝子も、ある意味では配列の違いでしかないでしょう。私はいずれ、後者の遺伝子も発見されると思っています。でも、それは人間精神の 「素（もと）」ではありえない。人間精神の、地上における物質的反映としてならありえると考えます。因果が逆なのです。そこは本来、神の領域だった。神的
存在（形態霊）が、あらゆることを加味して具合よく作っておい遺伝子を、人間が浅知恵で、いじくりまわしている感があります。どんなことがこれから生じる か考えると、恐ろしい。これまで存在しなかった生物がこしらえ出されていく。サルに人間の病原遺伝子を組み込むだけでなく、誰かが、本当のキメラ人間を作
り出すかもしれない。これまでも、野菜に大腸菌の遺伝子を入れたり、もうしたい放題ですね。環境に対する影響が未知数の生物が次々にこしらえ出されてい く。現にアレルギーを起こす組み換えトウモロコシは、日本でも輸入規制しています。
人間は、物質の微細構造を解明していくうちに核エネルギーを発見し、それをもてあそんで、原水爆を作り出しました。生
命の究極の物質的構造を解明する過程で、DNAを発見し、それをまた、もてあそんでいます。光るサルを作るくらいは、まだ他愛ないのかもしれません。将
来、どんでもなく伝染性の強いウイルスや病原体が研究室から拡散するかもしれません。天敵のいないキメラ生物が、環境を大破壊するかもしれない。原水爆に 匹敵する危険性もある。人間の認識衝動は、アーリマン的です。獲得した力にかなった叡智が必要です。でも、人類の精神的な進化は実に緩慢のようです。科学
の歩みに全く追いついていない。ここに最大の危険があります。
１月２５日（木）
＊クローン技術を使って、受精後２週間以内の人の胚から、臓器や組織を作ることがイギリスでできることになりました（朝日新聞１月 ２４日朝刊）。そういう法案が通ったのです。ちょっと想像するだけでおぞましい感じがします。人間の臓器が、フラスコの中などで作り出されるわけです。耳 とかが培養されてシャーレの中で生えてくるかもしれない。事故で耳を失った人にそれを移植する…。臓器工場のようなものができるかもしれない。何かやって 良いことと悪いことの区別が、どんどん失われているような気がします。技術の進歩には、こういうことに役立つからという理由がついてきますが、必ずマイナ ス面もある。手に入れたその力（技術）を悪用する人も出てくるのです。
受精後、いつからが人間なのかという問題がありますが、シュタイナーは受精後１０日から２週間たったころ自我が宿ると いいます。受精後２週間以内の胚だと、ぎりぎりですね。
オーストリアではマウス痘のウイルスに別の遺伝子を組み込む実験をしたら、偶然マウスを殺す致死性ウイルスが出来上
がったそうです（朝日新聞１月２４日夕刊）。人間には危険がないそうですが、遺伝子操作によって、偶然とんでもないものが生まれる恐れが実証されたことに なります。この事実を軍と政府だけに知らせて、公開はしなかったということは、ことの重大さを知っていたことになります。このような技術が生物兵器の開発
に悪用される恐れもあるわけです。
１月２９日（月）
遺伝子操作に対する歯止めがなくなっています。精神まで含めた全人的人間観が欠如している表われですね。今、この方面は、一気呵成という感があります。以 下、今朝の朝日新聞朝刊から引用します。
「米ケンタッキー大のパノス・ザボス教授（生殖生理学）は２８日までに、不妊治療を目的 に、イタリア人医師と協力して１，２年のうちにクローン人間を誕生させる計画を発表した。これまで新興宗教団体が同様の計画を明らかにしているが、技術的 な裏付けをもつ専門家は初めて。（中略）ザボス教授はケンタッキー大の動物科学部門に所属する傍ら、医師である妻らと不妊治療クリニックと精子検査会社を 経営。（中略）すでに日本人１組を含む１０組のカップルが計画への参加を希望中で、＜地中海のある国＞で実施したいとしている。無精子症の夫の体細胞から 核を取り出して妻の卵子に移植、夫と遺伝的に同一の赤ちゃんを誕生させることが考えられる。」
ザボス教授の協力相手は、「イタリア人不妊治療医セべりノ・アンティノリ氏をはじめ、数ヶ国の医師・研究者。アンティ ノリ氏は閉経後の６０代女性を妊娠させたり、マウスの精巣内で成熟させた人の精子細胞による体外受精をしたりするなど、新しい不妊治療法を試みている。」
ザボス教授は「われわれはだれかの自我を複製するというよりも、不妊を治療しようとしているだけだ。マイケル・ジョーダンのクロー ン人間をつくることに興味はない」と語っている。
不妊治療の名目で、恐ろしいことが次々に行われています。人間の手に落ちた「神の技術」を浅知恵で濫用しているというほかありません。ザボス教授が組んだ
アンティノリという人間も、困った人です。閉経は子供を胎内で育む時期が終わった合図です。閉経した６０代の女性を妊娠させるなど、女性の身体全体への心 配りを欠いた暴挙です。体を痛めるばかりです。マウスの精巣内で成熟した人間精子は、マウスのエーテル体の影響を受けてしまうかもしれません。感覚に感知
されないことは存在しないと考える唯物論者たちの畏れを知らぬ暴走という感じです。
アンティノリは、ザボス教授との協力のもと、今度は、女性に夫と遺伝的に同一の赤ん坊を生ませるわけです。ということは、妻
が「夫」を生むとも言える。自然（高次霊＝形態霊）の意図のもとに案配された人間肉体・遺伝の仕組みをこのようにいじることが将来にどのような禍根を残す か、分ったものではありません。
なお記事中で「同様の計画を明らかにしている」とある「新興宗教団体」は、ラエリアンのことです。太古地球を訪れた宇 宙人エロヒムが遺伝操作で人間を作ったと主張し、その宇宙人を歓迎する大使館を用意しようといラエリアン・ムーブメントを起こしています。聖書も宇宙人の メッセージとして解釈している。キリストも、メッセンジャーだったとか。そもそもの始まりは、１９７３年に宇宙人「エロヒム」がフランスでクロード・ラエ ルにコンタクトし、その「事実」を伝えたことから始まったという。聖書でエロヒムとあるのは、その宇宙人のことだと強弁しています。
ちなみにエロヒムは霊（精神）科学では、能天使たちのことで、形態霊と同じレベルの高次霊のことです。宇宙人ではあり ません。念のため。
ラエルは１９８０年代は、ＵＦＯ関係者の間でも、相手にされなかったような感じでした。１９９３年暮れにスイスの チューリヒで、街角の標識に彼らのポスターが貼ってあるのを見かけましたっけ。それから、５，６年前も、私の自宅近くの交差点にラエルの講演ポスターが貼 られていました。現在はスイスジュネーブに本拠を置き、世界各国に支持者を広げ、大使館建設運動をしているようです。
彼らラエリアンが２０００年１０月７日に、研究機関クローンエイドでクローン人間を作ると発表したのです。亡くなった １０ヶ月の男の子をクローンで蘇らせるということらしい。人類の発祥が、宇宙人の遺伝子操作によるという教義からいって、こうしたことにも、抵抗ないので しょう。
シリウスに帰るとか言って集団自殺しようとしたＵＦＯセクトもありましたっけ。ＵＦＯ関係でも、用心しないと、いろん な思い込みをした人たちがいます。
チャネリング系も、誰も検証しえないチャネラー（霊媒）の御宣託を崇めることになります。明らかに病理現象の場合もあ る。
こうしたことからＵＦＯ現象はすべてまやかしだとして、関わり合いにならないのも、ひとつの賢明な選択です。でも私は、ＵＦＯに関しても思い込みから自由
になって（これが難しい）、現象を見、解釈しながら結論を目指したいと思っています。
２月４日
＊昨日の朝日新聞夕刊一面で、「クローン人間 禁断か進歩か
欧米で相次ぐ＜誕生予告＞」の記事で、ラエルが紹介されていました。「カナダの新興教団」とありますが、本部はカナダなのだろうか。ジュネーブという情報
もあったけど。今調べたら、雑誌「ＵＦＯと宇宙」では彼、クロード・ボリロン（のちにラエル）は「フランス人」とありました。ちなみに、「ＵＦＯと宇宙」 への彼の寄稿「聖書と宇宙人」（中村省三訳）は１９７７年８月号に始まり、１９７８年１月号まで毎月連載されていました。私が１９７９年に「ＵＦＯと宇
宙」のバックナンバーを購入して一気読みした時、この連載は読まずに飛ばしていました。読む気がしなかった。今、ちらりと読んだら、連載最後の１月号に 「これであなたがたは、私たちの２５０億年進歩した科学を遺産として受け継ぎ、銀河間文明の時代に入れるでしょう。」という文が目に入りました。２５０億
年進んでいるこの「異星人」が肉体をもっているというのですが、うーむどうでしょう。問題は、聖書の霊的な叙述をすべて宇宙人の活動に読み替えている、そ の強引さです。この「教義」があるので、ＵＦＯ団体というより、宗教団体の扱いを受けているのでしょう。この団体の日本支部ではＵＦＯ連とかいう阿波踊り
の連をつくったり、セミナーを開いたりもしていて、よくあるパターンです。
２月１０日（土）
＊８日のＢＳ２３で、アメリカ・ケンタッキー大のザボス教授らが決行しようとしているクローン人間の問題を扱っていました。今朝ビ
デオを見たのですが、ザボス教授もインタビューに登場しました。その顔が、
丹波哲郎に似ている。声の質まで似ている。本物より少し早口ですが、やたら内圧の高いエネルギーがこもっている感じです。
番組ではスタジオに東京大学医科学研究所の勝木元也教授（発生工学）を招いて、意見を聞いていました。
彼の意見によると、これは不妊治療を方便にしたクローン人間作りだそうです。何も治療されないじゃないかというのです。
ここでクローン人間作りのプロセスをおさらいしておきます。子供がどうしてもほしいのに、できない夫婦がいる。夫の精 子がだめな場合ですね。まず妻の卵子を取り出し、そこから彼女の遺伝情報が入っている核だけ切除する。一方、夫の体細胞から、夫の全遺伝情報が入っている 核を取り出し、その空っぽの卵子に植え込む。その卵子を妻の子宮に移して、成長させる。こういう方法です。
勝木教授が、何も治療されていないと言ったとき、なるほど、夫の無精子症とかが直るわけではない、と思わず納得してし
まいましたが、あとで考えたら、この論法は、別にクローン人間化の場合だけに該当するのではないと気付きました。人工受精（夫の精子を取り出して妻の子宮 に着床させる）も、体外受精（卵子も精子も取り出して、試験管の中で受精させ、妻の子宮に移す）も、その意味では、治療ではない。不全な機能を直して、普
通に妊娠させるのが、本当の不妊「治療」でしょう。そういう場合もあると思いますが、子供ができなかった夫婦に、技術を用いて「子供」を授けるのも不妊治 療と言っているのが現状であるわけです。その場合、あえて言えば、不妊のために陥っていたフラストレーションが癒されたとでも言えるでしょうが、無精子症
とかが治ったわけではないのです。なんとか子供を生みたい、生ませてみたいという思惑が一致して、その一致した目標を技術で解決しているという行為です。 それでも、妻の卵子、夫の精子を用いた人工受精や、体外受精は、生まれた子供は本当に二人の子ですから、自然を大きく逸脱した感はありません（代理母を使
う場合は除きます）。卵子や精子が他人のものになるあたりから、問題が生じてくる。優秀な人間の精子を集めた精子バンクに群がる女性たち。虚栄と商業主義 が交合して子供が作られるおぞましさを感じます。
さて、クローン人間の場合は、とにかく他人の精子（遺伝子）ではないというところが唯一の売りなのだと思います。子供ができ
ない。でも他人の精子とか卵子は嫌だ。でもどうしても子供は欲しい。という夫婦が選ぶ選択肢です。そして技術が提供したのが、夫のクローンだったわけで す。家族作りに他人の遺伝子が介入するのを避けた結果が、妻がもう一人「夫」を生むという自然の摂理を越えた事態でした。
勝木氏の反論の第２点は、通常の受精による場合と比べ、生まれてくる子供の個性が完全に限定されているということで す。父親と全く同じ個性（遺伝子）しかない。これでは、生まれてくる子供の基本的人権が侵害されるというのです。「私たちが唯一無二で、予め性質が決めら れていない」ことが、基本的人権の内であると氏は考えています。通常の受精の場合、まず細胞核内の染色体が減数分裂をして精子や卵子になる。精子の場合だ けで考えてみると、精子が作られる際、減数分裂が起こり、核内の２本一対の染色体が分かれて、その１本ずつを１つの精子が担う。ところが、その分裂はただ 単純に分かれるんじゃなくて、２本の染色体の間で遺伝子交換が激しくランダムに起こる。つまり、ひとつずつの精子の遺伝子の組み合わせは、全部違うので す。卵子の場合も同じこと。その精子と卵子が、またランダムに受精する。こうして子供が生まれるのですが、その遺伝的組み合わせは数学的に大変な偶然の産 物であり、まさに子供は唯一無二の存在となる。このような唯一性は、有性生殖の仕組み自体に組み込まれている。なのにクローンで生まれる子供には、その唯 一性がないというわけです。
以前の主張を繰り返せば、この偶然こそが、高次の摂理が関与する条件なのだと思います。父方と母方の遺伝子の、ほとん
ど無限に近い組み合わせから生まれる豊かさと比べると、たったひとつの可能性を強制されて生まれる（降りてくる）ことの窮屈さを思わざるをえません。
５月１２日
＊「遺伝子改変ベビー誕生」（米国）のニュースが世界を駆け巡ったのは、５月５日でした。（日本の新聞では６日朝刊）。５月５日と いえば日本では「こどもの日」なのに、こどもに関する悪いニュースが発表されてしまいました。
高齢などで卵子の状態が悪くて妊娠しにくい女性がいるとします。その女性の卵子に、受精能力を高めるために、第三者の
女性の卵子の細胞質を注入するのですが、その際、その第三者の女性のミトコンドリアも入り込んでくる。ミトコンドリアにも、DNAがあることは、以前コラムで紹介しまし たね。つまり、その細胞質を注入された女性の卵子には、本人の核遺伝子の他に、第３者のミトコンドリア遺伝子が入っている。これで受精すると、受
精卵には夫の核遺伝子＋妻の核遺伝子＋第三者のミトコンドリア遺伝子が入っていることになる。この受精能力を高める方法で生まれた「遺伝子改変ベビー」は 既に約３０人（NHKの解説では２７人）に上っている。子供の遺伝子を調べると、その第三者の遺伝子の存在が、はっきり検出できるそうです。
『ミトコンドリアと生きる』（角川）によると、ミトコンドリアの遺伝子は、核遺伝子の中に入り込むこともあるらしい。つま
り、生まれた子供の核遺伝子に３人の遺伝子が混在することになるかもしれないのです。
こんなことは人類が誕生してから、経験したことのない事態です。この子供に何が起こるか。もし遺伝に変調を来せば、その子を
起点に後の世代まで、影響が伝わっていくでしょう。ミトコンドリアは、その働きが不明のことも多い、研究途上の領域です。受精能力を高める目的でしたこと ですが、予想できない事態が、起こり得るかもしれません。
現代の生命科学は、生命の全体を見ないで、ひとつの目的だけを追究しがちです。それが全体を破壊するかもしれないのに…。生 命科学を産業化し、研究を特許で縛るアメリカで、この傾向は最も顕著であるように思います。アメリカでは、民間人が人間クローンを作ることもを規制してい
ません。今回の遺伝子改変ベビーも、アメリカだからこそ可能だったと思います。
５月１２日
＊「サンデー毎日」（今週・５月２０号）に「“クローン人間”の未来」という記事が載っているので買って読みました。大変参考にな りました。よく調べてある、いい記事です。将来、レスビアン夫婦が自分達の子供を産む「方法」も紹介されていてショック。クローン技術を使わないでもでき ちゃう。
２人をA子さんとB子さんとします。第３者の精子の提供を受け、人工受精で、A子さんは男児になる受精卵を、B子さん は女児になる受精卵を作り、子宮に戻す。A子さんの子宮では男児が、B子さんの子宮では女児の胎児が成長していく。その後、胎児を中絶。A子さんの男児の 精巣から精子になる細胞を、B子さんの女児の卵巣から卵子になる細胞を取り出して、培養。成熟したその精子と卵子を受精させ、再び子宮に戻す。こうするこ
とにより、２人の遺伝子を持った子供が誕生というわけです。世代的には孫にあたるけど。現在はまだ不可能だそうですが、将来可能になるかもしれない。中絶 を前提にした、ひどい方法です。
５月２０日
＊先日、コラムでも紹介した遺伝子改変ベビーですが、昨夕の報道では、１７例のうち２例に染色体異常が出ているといいます。出産に
は至らなかったそうですが。
１１月２６日（月）
＊ヒト・クローン胚が作成されました。米国のマサチューセッツ州のバイオ企業、アドバンスト・セル・テクノロジー社が、体細胞ク
ローン技術を応用して作り、米専門誌に論文を掲載したと２５日、発表しました。臓器を作る技術だとはいっても、個々の臓器だけでなく、人間全体をコピーで きる技術でもあるわけです。
いつも思うのですが、自然科学の世界観からは、なぜ人間クローンがいけないのか、明確な批判ができない。倫理をもちだしても、科学と倫 理が分離してしまった現在、とってつけたような議論になりがちです。
精神が、物質肉体と分離しても存在しえると主張する立場でないと、クローンと元の人間の区別すらつかないでしょう。自然科学では、 DNAが同じなら、同じ人間とみなされますから、区別がつかないのです。クローン人間には、元の人間とは別の精神が降りてくるわけです。クローン人間が出
来てしまった場合、その人権は守られないといけない。臓器をとるためにクローン人間を作るなどはもってのほか。一番いいのは、そもそもクローン人間を作ら ないことです。それは高次世界にも影響を及ぼすはず。人間の欲望（死んだ子供を再生させたいとか、臓器移植のために予備の自分をもひとり作っておきたいと
かの欲望）が、人間を作り出すことの忌まわしさ。この忌まわしいという感覚がなくなってきたら、危ない。人間の欲望が、彼岸の魂を呼び寄せるという事態 は、交霊術に似ています。
これまでも臓器移植やクローン、遺伝子操作について書いてきましたが、事態は確実に進んでいます。精神への深い理解もなく、技
術にのみ頼って歩む道のなんと危ういことか。
２００２年２月１７日
＊テキサスA＆M大学で三毛猫のクローンが昨年１２月２２日に誕生し、最近（２月１５日朝日新聞夕刊）お披露目がありました。名前 は Cc( Copy cat)。
http://news.bbc.co.uk/hi/english/sci/tech/newsid_1820000/1820749.stm
生まれてすぐでなく、可愛い盛りの３ヶ月の子猫の時点で発表したわけです。なにやら意図を感じてしまいます。クローンに対する本
能的嫌悪感が、かわい～！！という第１印象で吹き飛びますから。事実、私も、可愛いなと思ってしまいました。でも、この道は、大変な危うい道であること は、以前指摘した通りです。
こういう可愛いペットをもう一匹作るくらいなら、いいじゃない？という心の動きを見越した作戦のように思います。最終目標はいつか、ク ローン人間に対する一般の嫌悪感を消し去ること。世論操作されないためには、知識や認識が必要です。
日本でも近大でホウレンソウの遺伝子を入れて、肉のリノール酸を増やした「ホウレンソウ豚」が作られましたね（１月２４日朝日・毎日夕 刊）。遺伝子工学では、動物と植物の違いも、遺伝子の塩基の組み合わせの違いに還元されてしまう。物理・数学的な一元論です。しかし精神科学（霊学）で
は、アストラル界にある動物のグループ自我、さらに高次の世界にいる植物のグループ自我などが、それぞれ動物や植物の個体の上位にいると考えています。ホ ウレンソウ豚が作られたことによって、いったい、上の世界では、どんなことが起るでしょうか。今まで別の役目をしていた分霊が、新たに「ホウレンソウ豚」
のグループ自我となる必要が生じるかもしれません。人間の浅智恵で、高次世界の創造行為に干渉しだすと、どんな結果を生むか分かりません。
２月２１日（木）
＊今日はドイツ人のGさんと話しました。彼女は日本の大学でホウレンソウ豚が作られたことは知らなかった。
私：豚にホウレンソウの遺伝子を入れたわけです。
G：どういう目的があるの？
私：リノール酸が増えておいしくなるとか。動物と植物の混合ですよ。くらげザルのときは、少なくとも動物同士でしたけど。
G：…（ちょっと頭をかしげるが、まあ肯定。くらげも広義ではTierですから。）
私：生物の進化の歴史上、これまでなかったようなことが起こっています。
G：でも、これで進化に新しい局面が生まれるかもしれないわ。
私：そうですかね。
G：植物がウイルスに感染して、その遺伝子が組み込まれるような進化もあったことだし。いろんな混合はこれまでもあったのじゃない かしら。
私：うーん。でもその場合、大局的にみて、進化の必然があったのかもしれない。人間の智恵で行うのとは違うと思う。
G：まあ、私は全てを悲観的に考えないようにするために、そう考えてみたわけ。
私：なるほど。
３月８日
＊昨日の朝日新聞朝刊・家庭欄に「クローンペットは悲しみをいやす？ 動物愛好家の関心高く」という記事が載っていました。クロー ン猫効果です。予想していた通りですね。でも記事は否定的で、ペットロス症候群の研究をしている宗教社会学者の大村英昭教授（関西学院大）も、その記事中 で「クローンペット作りが進めば、亡くなったわが子のクローンをつくりたいという欲望にもつながりかねない」と言っています。
なお２月２５日朝日新聞朝刊には「資産家独身男性クローン候補に スイスの宗教団体」の記事が載っています。宗教団体はラエリア
ンです。「不治の病で死に瀕している資産家の独身男性（５９）を新たな候補に選んだ」という。この団体は以前、死んだ男の子のクローンを目指していました が、見送っています（２００１年６月３０日朝日夕刊）。
４月６日
＊＜4月05日 23:40
クローン人間：現在妊娠８週間に イタリア人医師が発表
５日のタス通信によると、クローン人間計画の推進者であるイタリア人医師セベリノ・アンティノリ氏は、アブダビでの講演
で、クローン技術による妊娠に成功し、現在
８週間に達していると発表した。同医師がクローン人間の妊娠を明らかにしたのは初めて。
事実とすれば、史上初のクローン人間が年内にも誕生する可能性がある。
同医師はパノス・ザボス元米ケンタッキー大教授らと、不妊カップルのためのクローン人間づくりに取り組んでいる。
アンティノリ医師は、妊娠した女性の国籍などは示さなかった。また、どのようにして妊娠に成功したかなど詳しい経過につい ても明らかではない。（モスクワ共同）＞
［毎日新聞４月５日］ ( 2002-04-05-23:41 )
本当でしょうか？
＊あと数ヵ月後、「世界初：クローン人間誕生」なんて見出しが新聞紙面を飾るのでしょうか。それがなぜおぞましいことなのかは、以
前書いた通りです。
４月８日
＊＜クローン人間：胚はアラブ富豪から イスラム国で実験進行
英紙サンデー・テレグラフ（電子版）は７日、クローン技術によるヒトの妊娠を発表したイタリアのセベリノ・アンティノリ医 師が、クローン胚（はい）は「アラブの高貴な富豪」のものであり、実験は「あるイスラム国」で進行中だと友人に語ったと伝えた。
イタリア紙テンポの科学記者ジアンカルロ・カルツォラリ氏が、５日に医師から連絡を受けたことを明らかにした。
医師は「妊娠は事実だ。実験に無限の資金提供を受けている」と語ったという。
カルツォラリ氏によると、医師は富豪についての詳細や妊娠中の女性の名前は明かさず、「結果を出すためにカネをいくらでも 使える。西欧諸国では不可能な研究が、イスラム国だからこそできた」と説明した。
懸念されている異常の発生について医師は、実験でヒトクローン胚は慎重に検査され危険性は「ほぼゼロ」になったと説明。 「動物実験で見られた問題が、ヒトの場合生じないことは確実だ」と断言したという。
しかしアラブ世界の不妊治療の権威であるサウジアラビアのサミル・アバス氏は「イスラム諸国は以前からクローン人間計画に 強く反対している」と指摘、イスラム国で実験中との説明に強い疑いを表明した。
アンティノリ医師は最近、アブダビでの講演で、クローン技術による妊娠に成功し現在８週間に達している、と発表。信ぴょう 性を疑う声や、医学、宗教関係者の非難など国際的な反響を呼び起こした。 （共同）＞
［毎日新聞４月８日］ ( 2002-04-08-04:30 )
富豪の「無限の」金と、アンティノリ医師の倫理なき功名心がドッキングして、ことが運んでいるようです。信憑性を疑う声もありま す。口頭発表だけで、他に何の証拠もないのだから、厳密に言えば、疑うべきですが、私は、おそらく妊娠は本当なんだろうと思います。不快な事実を認めたく ない気持ちから、目の前に証拠を突きつけられるまでは認めないという人もいるでしょうが。少なくとも、彼らがやってきた実験のプロセス内で、確かな手ごた えをもって妊娠が成功しているのだと思う。さもなければ発表しないでしょう。ただし、その胎児が実際に胎内で成長し、出産にいたり、さらには障害のない赤 ん坊として生まれるかどうかは、別問題です。異常の発生の危険性がほぼゼロという医師の話は、信じられません。人間による実験は自分達だけがやっているの で、何とでも言える強みを利用している感じです。
以前にも言及しましたが、ここでもう一度、強調しておきたいことがあります。万一、クローン人間が生まれてきてしまった場合を想 定して次のことを言っておきたいのです。
クローン人間にも、自然な受胎で生まれた赤ん坊同様、人権があります。一個の人格として法律上の権利を受ける資格もあるし、差別されてはならないし、ましてや、「作った」人間や、クローン胚を提供した人間に従属する所有物のように考え、その臓器を利用したり、奴隷のように扱ったりするのは、考えるもおぞましい冒涜です。
友人のアントロポゾーフ（ハンガリー人）があるとき議論の中で、クローン人間も人間なのかという疑問を述べた時、私は問題の根の 深さを思わずにはいれられませんでした。
クローン技術操作をしているのは、もちろん医師ですし、提供している人間胚はそのアラブの富豪の生体からとったものですが、女性 の胎内に移されたクローン胚は、最初は物質体でしかない。その物質体に降りてくる自我は、高次世界で受肉のため待機していた自我です。独立した一個の自我 であって、富豪の自我とは全く違うものです。たまたま、地上での、そのような過酷な条件を選んで降りてくることを選択した、いわば勇気ある精神です。多くの人の誤解や差別や人権蹂躙や、場合によっては実験動物並に扱われ、生命の危険すらあるかもしれない生を選んだ精神です。
一番いいのは、そのようなカルマを作らないこと。クローン人間を作らないことです。それが避けられなかった場合、次善の策として、クローン人間の人権を守るようにしなくてはならないということです。
しかし、現代の唯物的世界観は、人間精神と肉体の源を別のものと考えることができません。はっきりクローン人間が一個の精神をもった人間なのだという理解が生まれにくい状況があります。
クローン操作をしている際にも、いろいろな良くない力が関与します。医師の倫理観を欠いた心の動き、胚提供者の肉体維持の欲望、将来の巨大ビジネス化を夢想する企業家の金銭欲。このような心の動きのもとで行われる作業には、必ずそれにふさわしい種類の黒い存在が関与することでしょう。人類がかつて生命力を誤用して滅んだという古代アトランティス伝説のことも思い浮かびます。
５月２６日（日）
＊イタリアのセベリノ・アンティノリ医師がクローン人間を妊娠させた３人の女性は今年１２月か来年１月に出産するそうです（毎日新聞５月２５日夕刊）。２人はロシア人。中国にもクローン技術で妊娠した女性がいると同医師。
昨日、NHKスペシャルで、人工授精で出生した人たちの悩みを扱った番組「〝親"を知りたい 不妊治療の陰で 父探しの歳月 子ども達の心の闇」を放映していました。人工授精で産まれたことを知った米国の人たちが、自分のルーツを尋ねて父親を探す番組です。私は昨夜、放映時間にはジムに居たので、他の人がジムのテレビで見ているのを、ときどき覗いたていどですが、かなりショッキングでした。事実を知ってから、育ての父に疎遠感を抱いたり、遺伝上の父親と会いたがったりするのは、自然の感情だと思う。ところが、人工授精を行った病院に参照に行くと、けんもほろろの応対をされる。いわく、事実を教えた母親が既に契約違反をしている。そして、あなたのような人が、ドナー（精子提供者）の生活を壊すのだと。
私は、これを聞きながら、契約違反だの法律違反だのという以前に、これは全ての人間が平等にもつべき人権を損なっている状況だと思いました。そして、こんな状況を作った、倫理を欠いた医療技術こそ、咎められるべきだとも思いました。
人工授精児であることを知らされた人がそのとき感じた複雑な感情をとても一言では言えないというのを聞いて、そうだろうと思う。
番組では、人工授精児だった男性が、受精が行われた病院で同じ頃産まれた人を２人見つけだし、遺伝子調査を専門機関に頼む。その結果を報告される場面にカメラも入っている。結果は、３人の遺伝的父親は同じだと出る。男性の複雑な表情の中に、喜びが混じる。ふつう考えられている 「きょうだい」の概念を考え直さなければいけませんねと言う彼。突然、「異母きょうだい」が見つかったのだ。他に世界中に何人の異母きょうだいがいるか分からない。ひとりぼっちだった意識が変わる。
父親の精子が不妊症だと言うので、他人の精子を精子バンクなどで手に入れ、妊娠する場合、こうしたことが起ります。「治療」を施す医者側は、不妊症患者が喜ぶのだから、いいことをしているのだと主張するのでしょう。でも、このような反自然的医療行為の結果、生まれた子どもの自己存在感が揺らいだり、父親探しという自然の感情を否定されて、こころに深い傷を負って苦しんだりするのは、どう考えてもおかしい。
ドナーと受精する女性の間の、「契約」なんかで済むような事柄ではないのです。人がひとり生まれてくるという重大な事柄を、人間が操作してしまった結果、起った悲劇です。
人工授精ですら、こうです。ましてや、別の人間のコピーとして生まれてくるクローン人間が、出生の秘密を知ったときに受ける苦しみはどんなであるか。
子どもがほしいという欲望が、人工授精の技術を肯定してしまいましたが、その先には、クローン技術による出生があったのです。両親の欲望と、医師の功名心がドッキングして起った事態です。
繰り返しますが、クローン人間は作らないのが一番いい。でも生まれてきてしまったら、その人権を守らなければいけません。アンティノリ医師は、１０例目が２歳になるまで公表しないと言っていますが、公表したら、その子の人生はめちゃくちゃになるでしょう。成功したという医師の名誉心の犠牲。精神の淵源を知らぬ浅智恵の技術の犠牲者です。
１１月２８日（木）
＊イタリアのセベリノ・アンティノリ医師が２６日、彼らが関わったクローン人間（胎児２５００～２７００グラム、女性の国籍などは伏せられ
ている）が来年の１月に生まれる予定だと発表。このニュースを昨日の夕刊で知ったばかりなのに、今度は今日の夕刊に、宗教団体ラエリアン・ムーブメント が、今年中にクローン人間（女児）誕生と発表(２７日）したというニュースが載りました。
おそらく栄誉心に踊らされて、先陣争いを演じているのだと思います。この団体のフランス人科学者の話しでは、現在、彼らのグループ関係でクローン人間を妊娠している女性は、米国２人、アジア人２人、欧州人１人の計５人だそうです。そのうちの一人が年内に出産ということですが、以前、クローンの赤ん坊を求めている人には日本人もいるような話がありましたから、アジア人２人というのは日本人の可能性もあると思います。東京新聞の記事によれば、「同団体は、地
球上の生命は二万五千年前に飛行物体でやって来た異星人からもたらされ、人間は彼らのクローンであると主張している。団体の信者は世界中で５万５千人という」（１１月２８日東京新聞夕刊）。
１２月１６日
初のクローン人間 セルビアで誕生へ 地元誌へ伊の医師（１２月１６日付け東京新聞夕刊）
イタリアのセベリノ・アンティノリ医師が、セルビアの週刊誌「ニン」（１２月１４日発売）のインタビューで、来年１月に世界初のクローン人間の赤ん坊が、セルビアのベオグラードで生まれるだろうと述べたというもの。
病院名は公表していませんが、男児の誕生の地がベオグラードとなることを公にしたわけです。マスコミが調べまくれば、じき発見されてしまうと思う。
もうひとつのグループ、ラエリアンの方は１２月誕生と言ってましたね。当初は、誕生の場所を伏せて赤ん坊の人権をマスコミの好奇心から守るかのように振
舞っていましたが、競争相手がいる中で、世界初を名乗る功名心が露呈してきた感があります。
１２月２０日
＊ラエリアン・ムーブメントのフランス人科学者ブリジット・ボワセリエ氏が１９日、クローン人間の赤ん坊（女の子）を帝王切開でクリスマスに出産させる方針であると、ロイター通信などに発表したそうです。生むのは３０歳代の米国人女性。場所は明らかにされていない。
繰り返しますが、この団体は、聖書に登場する高次霊などをすべて異星人であるとし、人類は異星人がクローン技術で創ったのだと主張する新興宗教団体です。この団体が、わざわざイエスの誕生日に初のクローン人間を生ませる意図は、なんでしょう。なお、クローン技術で生まれたかどうか、確認する手段がなければ、世界の科学界からの「認定」は難しいかもしれません。でもたぶん本当だと思います。世界中で禁止の方向にあった人間クローンを、抜け駆けでやってし
まった。
今年のクリスマスが、「神の領域」を人類が侵した日として記憶に残ることになるわけです。キリスト教界からは猛烈な反発が予想されます。生まれてきた子が背負う重荷がまた増しました。
１２月２３日（月・祝日）
＊ラエリアンのクループはクローン人間の赤ん坊を帝王切開でクリスマス（クリスマスイブの夜中か？）に生ませると言っているわけですが、場所がヨーロッパ
なら、日本時間の２５日午前中くらいに誕生を発表するでしょう。でもクローンである証拠がないと言って、マスコミは一面トップではなく、一面左側くらいの扱いをすると思います。でも、いつまでも認定できないというわけでもない。母親と赤ん坊の遺伝子を第三者の機関が調べて、同じであると認めれば、認定でき
ます。それはすぐにはさせないと思う。セルビアで１月に生ませるイタリア人医師グループの方も、赤ん坊の公表は当面避けると思うので認定は遅れるでしょ う。でも、こうやって人間の欲望の犠牲となって天から無理やり呼び出された魂の、厳しい人生が始まるのですね。
１２月２５日
＊まだクローンの赤ん坊誕生のニュースは伝わってきていません（午前９時すぎ）。ラエリアンの日本語サイトや、ラエリアンの人間クローン会社クローンエー
ド（そんなのがあるんです）のサイトも見ましたが、出ていません。重い障害を負って生まれてくる可能性も高いので、その場合公表しないかもしれない。
こんなことはやってはいけないことです。
今年２月２４日に同団体は、ネットで、「死が近い男性を新たなクローン人間の候補に選んだ」と発表しました（毎日新聞２月２５日朝刊）。 「新たな」というのは、前にも死んだ男の子のクローンを作ろうとして、一度断念しているからです。記事によると、「この男性は約３０００人の希望者から選ばれ」、「男性のクローン人間を産む女性は、同団体の計画に賛同している５０人の中から選定しているという」。
今日の朝日新聞で京都大学の加藤和人助教授（科学コミュニケーション論）がこの件を取り上げ、国際社会の枠組みで人間クローンの規制を提案していました。彼も書いていますが、各国とも禁止の方向にあるのですが、胎児までなっていない段階の人間クローン胚を実験に使いたがる科学者は多い。今年３月にかけて行われた国連特別委員会でも、クローン人間禁止では一致しても、クローン胚では意見が対立しています。２００１年１１月２５日には米バイオ企業アドバンスト・セル・テクノロジー（ACT）が世界初のヒトクローン胚作製に成功しています。日本では、２００１年６月６日に施行した「クローン技術規制法」で、クローン人間誕生につながる行為をした場合、１０年以下の懲役か１０００万円以下の罰金に処するという世界初の罰則規定もとり入れ、積極的な規制の姿勢を世界に示したのですが、厳しい条件の下とはいえ、研究のための胚作りの道は残しました。米国のヒトクローン胚作製１０日後の、２００１年１２月５日に施行された「特別胚指針」では、医学研究に役立つ場合を詳しく既定しました。米ブッシュ大統領は、ヒトクローン胚の作製は「道徳的に誤り」と批判
しました（１１月２６日）が、彼の唱える「道徳」は、イデオロギーとしての保守的な「道徳」でしょう。
これらのヒトクローン胚を再生医療に使おうとする方向には、ヒトクローン胚はまだ人間ではないという論理があります。作製後１４日以内に使うように規定されているのもその意味合いがあります。でも、シュタイナーによれば、受精後１０日から２週間くらいが、自我が下りてくる時期です。
人間クローン胚まで禁止するのは科学の発展の阻害につながるという議論もあるのですが、唯物論の人間理解の貧しさで、クローン胚をモノとしか見ていない眼差しに、反生命的な闇を感じます。この人たちは、おそらくバレなければ胎児の段階に入ってしまったクローン人間も実験対象にしようとするかもしれませ
ん。いわゆる「倫理観」や「本能的嫌悪感」というような曖昧なものではなく、精神の成り立ちを認識的に捉えたシュタイナーの人間科学は、クローン問題に明確な視点を提供しているように思えます。
＊あれっ？ １９日の発表ではラエリアンのグループが産ませようとしている赤ん坊は女の子だったはず。 － 今１２月２０日朝日新聞夕刊の記事で確認しま
した。
２月の段階で発表した死にかけた男性のクローンなら男の子のはず。別の候補がいたのだろうか。
１２月２６日
＊ラエリアンのクローン人間誕生のニュースはないです。帝王切開なら日にちはずれないでしょう。考えられることは生まれた赤ん坊が障害を もって生まれたか、死産だった可能性がある。それとも「クリスマスに」というのはクリスマス休暇中という意味なのでしょうか？
１２月２７日（金）
＊ついにクローン人間誕生！
予想通り、毎日新聞（東京本社版）は一面の左中央の７段抜き。ラエリアンの説明、技術力に疑問という解説つき。朝日新聞はあくまで真偽が定かでないという姿勢で、１４面に３段の小さい扱い。
２６日の夜、クローンエイドのボワセリ博士が電話でＡＦＰ通信に発表ということですから、２６日夜に産ませたのでしょう。帝王切開なら、２４日夜のクリ
スマス当日だって可能だったはずです。これはキリスト教界の反発を避けてわざとずらしたと思う。
年明けにはさらに４人生まれるという。
キリストの復活は宇宙人のクローン技術によるとか、地球上の生命は２万５千年前に地球にやってきた宇宙人が作ったとか、人間は異星人のクローンだとか、
聖書に登場する高次霊はすべて宇宙人であるとか、こうしたお話しを教祖が言ったというだけで信じるというのは、理性的批判力が欠如しています。
＊ラエリアンたちのしたことは大きな間違いです。世界中が、倫理にもとる大きな過ちになるという予感で禁止の道を歩みだしていたとき、理性の声が届かない確信犯集団がやってしまった。
彼らの教義に、エロヒムやルチファーの名が登場していて、紛らわしいので、いちおう精神科学的に検討しておきます。あまり気は進みませんが。
彼らは、人間精神よりも物質としての遺伝子にこだわったり、本来高次霊である存在を肉体のある異星人とみなしたりすることで分かるように、霊性を物質的なものに置き換えて解釈する唯物的な思考圏にあると思われます。異星人が存在するとしても、それは精神進化的には人間レベルの存在です。人間より一段高次の天使のレベルにすら達していない。ましてや、人間創造と関わる形態霊（キリスト教で言えばエロヒム＝能天使レベル）は、天使のさらに３つ上位の位階にある高次霊です。このエロヒムを彼らは異星人と主張している。そのクローンが人間だと言う。さらにはおよそ同じ位階にあるルチファーをも異星人と見なしている。その主張はたった一人のラエルという人間が言っていることに由来しています。それを教義として信じているわけです。
霊的位階も、知らない人から見れば、わけの分からない話かもしれませんが、少なくとも伝統的な秘教が共有している叡智です。まあ、どちらをとるかと言われたら、人間としてシュタイナーの方が信用できるなと思ってしまいます。
私は、こういう精神科学的知見を持ち出さなくても、クローン人間が自然に反した冒涜であるということは感じられるし、それを強行する集団は、よくないことをしていると思います。
１２月２８日（土）
＊昨日はクローン人間誕生のニュースが流れたせいか、当HPのアクセス数が１７７（前日比、＋６９）に上がりました（コラムは１０４、前日比、＋２９）。
クローンの赤ん坊は「イブ」と名づけられたそうです。聖書に出てくる人類最初の人間の名前か…。
毎日新聞の報道が詳しいです。ボワセリ博士の発表した生誕時は朝日には載っていない。ただし、赤ん坊の体重は、「およそ７ポンド」（朝日）と言ったの を、毎日では換算して３１５０グラムと言っているもよう。有効数字を３桁もとるのは間違い。約３０００グラムと言ったほうがいい。
以下、毎日新聞朝刊から。
「クローンエイド」社のブリジット・ボワセリ博士は２７日午前９時（日本時間午後１１時）過ぎから、米フロリダ州ハリウッドのホテルで記者会見し、「２６日午前１１時５５分にクローン技術による女児が初めて誕生した」と発表した。しかし、クローン人間であることを裏付ける科学的なデータなどは示されなかった。
発表によると、女児は体重３１５０グラムで健康状態はよく、「イブ」と名付けられた。出産したのは３１歳の米国人女性で、女児はこの女性のクローンだというが、誕生場所などは明らかにされなかった。（中略。クローンであることは）、「独立した専門家によって確認したい。結果は公表する」と語った。
また、ボワセリ博士は、今後数週間のうちに他に４人のクローンの赤ちゃんの誕生が予定されていると述べた。１人が北米、１人が欧州であとの２人がアジア
だという。（後略）
引用おわり
２００３年１月２日
・クローン人間誕生についての反応
ローマ法王庁（バチカン）のアカデミー：事実だとすればヒトのクローンづくりはコピーする人物をあらかじめ選んで再生産するものであり、 人間の「奴隷化」につながる重大な犯罪。
バチカン所属のラテラノ大学、コッツォリ教授：妄想に駆られた自己陶酔で、道徳的に受け入れられない。（以上、朝日新聞２００２年１２月２８日夕刊）
シラク仏大統領：人間の尊厳に反する犯罪行為だ。（毎日新聞１２月２８日夕刊）
ユネスコ（松浦晃一事務局長）：人間の尊厳に対する許しがたい侵害で、倫理的に受け入れられない実験だ。（朝日新聞２００３年１月１日）
・その他のクローン人間関係
クローン女児、米国の自宅へ（１２月２９日、クローンエイド社のボワセリ代表が発表、第三者によるＤＮＡ鑑定は３０日にも始まり、今週末か来週初めには結果がでるという。毎日新聞１２月３１日朝刊）
ラエリアン・ムーブメントの教祖ラエル氏の話として、「クローンづくりを希望している人は２０００人に上る」「クローン人間づくりは一件につき２０万ドル
（約２４００万円）の費用が掛かる」（毎日新聞１月１日）
韓国ソウル地検が、クローンエイド社の韓国支部を捜査。クローンエイドの韓国支部は、２００２年７月の段階で、約半年後にクローン人間が韓国で誕生すると
語っていた。３人が代理母として参加中とも発表していた。（朝日新聞２００２年１２月３０日朝刊）
クローンエイド社は、同社とラエリアンのサイトが２７日までにハッカーによって破壊されたと発表。（毎日新聞２００２年１２月２８日夕刊）
１月５日
＊ラエリアン・ムーブメントの発表では、「３日夜、オランダ人の女性同性愛者のカップルに世界で２人目となるクローンの女児が生まれた」そうです（毎日新
聞１月５日）。「出生場所は欧州北部」。
女性同士の遺伝子が混ざった子どもを作ることも理論的に可能ですが遺伝子操作の時代（２）の「“クローン人間”の未来（サンデー毎日）」を参照のこと）、このケースは、一方の女性だけのクローンですね。おそらく、一方の女性の細胞の核（遺伝子入り）を、もう一方の女性の核を抜いた卵子に入れて、その女性の子宮で成長させたのではないかと思います。でも、このケースも、検証されていない。科学界では、正式に論じることもできないわけです。
１月７日（火）
＊クローン児鑑定中止 米ジャーナリスト『ねつ造の可能性』（東京新聞１月７日夕刊）
「最初のクローン人間とされる女児の両親がプライバシーを理由に鑑定に反対しているため」、ラエリアン・ムーブメントに鑑定を依頼されていた元ＡＢＣテレ
ビの科学記者マイケル・ギラン氏が、鑑定中止の声明を６日に出したもの。ギラン氏は「すでに鑑定のための特別チームを編成したが家族とも接触できない状況だ。現時点では、クローン・エイド社の発表はラエリアン宣伝を意図した入念なねつ造の可能性がある」（同紙）と述べたそうです。
こうなると、すわ、インチキだったかということになりますが、ことは冷静に見極めなければならないでしょう。そもそも、このギラン氏は、毎日新聞１月６
日朝刊によると「数ヶ月も前から複数の米有力テレビに対し、高額で独占報道をもちかけていた」（出典：ニューヨークタイムズ紙）そうです。「提示額は１０ 万ドル（約１２００万円）以上だったという。」
ねつ造であれ、ホンモノであれ、ラエリアンが世界に先駆けてクローン人間を産ませると発表していた意図には、当然、組織の宣伝の要素があったわけです。
しかし、「第三者」として、鑑定を依頼されていた人物も、売名と報酬目的があったことになります。テレビに報道を持ちかけるくらいだから、ギラン氏は、ラ エリアンのクローン技術を信じていたはずです。もしホンモノなら、それを鑑定した彼は、一躍世界の注目を浴び、ことの是非はともかく、有名になったでしょ
う。その目論見が破綻したとたん、手のひらを返したようにねつ造説を出しても、それは保身のためではないかという疑いを持たれても仕方ないと思う。鑑定ができないとなれば、ラエリアン・シンパという烙印を押されるだけの結果になるからです。
女児の両親がプライバシーを盾に鑑定を拒否していることについては、これも額面通り受け取れないかもしれません。両親がどこまでラエリアンとかかわりが
あったのか。信者なのか。信者なら、教団の意図を受けて拒否していることも考えられます。信者でない場合、拒否は自然な成り行きかもしれない。「米フロリ ダ州の弁護士が女児保護を求める訴えを起こした後、両親はストレスを感じている」というクローン・エイド社のボワセリ氏の話（東京新聞１月１日）が本当と
すれば、子どもを人手に渡すようなことになるかもしれないからです。両親が信者の場合は、この弁護士の訴えも最初から仕組んであったことかもしれません。
同じく今年１月中にクローン人間を誕生させると宣言していたイタリア人医師セベリノ・アンティノリ氏は、ラエリアン・ムーブメントに出し抜かれた形に なってしまいました。その彼が「科学的な根拠に裏付けられていないこの種の発表は混乱を生じさせる恐れがある」「宗教団体の思想は私の科学的な方法にそぐ
わない」と批判していますが、彼も世界初のクローンを作ったという「栄誉」を求めていた人物です。クローン人間をめぐって、関係者の売名・嫉妬・裏切りなどのおぞましい感情が渦を巻いている感があります。科学界では、途中のデータがちゃんと提示され、鑑定もなされ、論文となって発表されない限り、その「実
験」は存在すら認められません。（それもまたどうかと思いますが）
当分、科学界からはこの件に関しては、無視が続くと思われます。アンティノリ氏サイドのクローン人間の誕生がどのような発表の仕方をされるかで、また事態は動くと思われますが。
１月８日
クローン人間の件では、両親が、子どもと一緒にいられるなら鑑定を受けてもいいと言い出したらしいですね。子どもを保護の名目で手放すことになるのを恐れていたということですが、さて、まだまだ事態は流動的です。
１月２１日（火）
＊さて、１９日に日本ラエリアン・ムーブメントが海外（場所は伏せてある）で２０日にも日本人の男児のクローン人間が誕生する予定と発表したことについて、少しコメントします。
この報道に関しては、朝日、毎日、東京新聞を比較した場合、珍しく朝日新聞が一番詳しいです。週刊朝日でこの件を取り上げたことと関係しているかもしれ
ません。これまでは毎日が詳しいでしたが、今回は毎日の扱いが一番小さい。
発表では、１８ヶ月前に事故で亡くなった当時２歳の男の子のクローンを日本人の両親（教団メンバーではない）が教団に依頼したという。教団メンバーの女性の卵子を使って男児のクローン胚をつくり、その女性の子宮に戻したそうです。これは女性の卵子から核を抜き、男児の体細胞の核を植え込んで、着床させた
ということですね。両親は教団のクローン製造会社であるクローンエイド社に約２０万ドル（２４００万円）支払ったという。
「日本ラエリアンの代表者は、同社が２月上旬に新たに２０組ほどのクローン人間づくりに着手する予定で、このうち数組が日本人の依頼者であることも明らかにした」（朝日新聞１月２０日朝刊）。
発表が本当だと仮定した上で以下の話をします。
このラエリアンのクローン人間に日本人のクローンがあるかもしれないことは以前から指摘していましたが、やっぱりというところです。そもそも、これまで
主張しているように、クローン作りは罪作りでやってはいけないことです。法律的にも、日本では１０年以下の懲役か１千万円以下の罰金刑を科せられます。海外で行なったことなので適用されないでしょうが、国籍はどうなるのかとか、生まれてきた子どもの抱える問題は山のようにあります。
今回の問題は、わずか１年半前に亡くなった男児のクローンが生まれるという時間的な近さにもあります。５０歳の人が遺伝子を提供してクローンの赤ん坊が生まれる場合だと、提供者とクローンの間に５０歳の年齢差があります。同じ遺伝子をもっているといっても、提供者からみれば、小さい頃の自分が登場した感
じでしょうし、提供者の小さい頃を知らない周囲から見れば、ふたりは違う人間だという印象をもてるでしょう。
しかし、可愛い盛りで亡くなった２歳の子どもの印象が、両親の脳裏にまだ強く焼きついているうちに、このクローンの赤ちゃんは生まれてくるのです。２年すれば、亡くなったときと見た目も全く同じになる。その先両親は、死による不連続の事実を忘れ去ろうとし、同じ子どもを育てているという錯覚をもとうとするかもしれません。その状態で、亡くなった子どもの魂に対する祈りの気持ちを保てるかどうかも疑問です。
子どもが亡くなった親の悲しみは他人には理解しがたいものでしょう。私の母も長女を３歳で亡くしています。私は長姉の写真が飾られ、長姉のことが折に触れて話題になる雰囲気の中に生まれましたが、それでも、母の悲しみはよく理解できていないと思います。そうした悲しみをもった人間に、お金さえ出せばスペアーのように同じ子どもを作れるという誘惑が迫ってくること自体に、人間の魂の尊厳を損なう黒い力の関与を感じます。
テレビで最初のイブ誕生を発表するクローンエイド社のボワセリエ女史を見た多くの人は、彼女の雰囲気に異様なものを感じたと思います。その直感は案外正しいのではないかと思う。
＊朝日新聞（１月２０日夕刊）に「＜ヒトクローン＞誕生発表 宗教界から批判相次ぐ」という記事がありました。そこから少し引用しておきます。
以下引用
仏教界では、浄土宗が１月１５日に東京で開いた記者会見で、「人間の思いあがり以外のなにものでもなく、大いなる『いのち』そのものへの冒涜といえよ う」との声明を発表した。「コピー人間をつくる行為は、生命の軽視をもたらすだけでなく、コピーしたい人間をいくらでも再生産することに直結し、人間の優劣・差別、支配・被支配につながるとともに奴隷人間の生産という修羅道への転落を予告するもの」としている。
宗教法人「大本」（本部・京都府亀岡市）は同月５日、「“自然の摂理”や“生物進化の法則”に反し、社会に深刻な混乱をもたらすにとどまらず、人類そのものの生存さえ脅かす」との抗議文をラエリアン本部に送った。
バチカン（ローマ法王庁）広報はラエリアンの発表直後の昨年１２月２８日、「倫理的、人間的思考を欠いた、粗暴な知性の表れ」と非難する声明を出してい
る。
以上
＊２０日、朝日新聞のインタビューに応じたクローンエイドのブリジット・ボワセリエ博士が「日本国内の某所で（日本時間の）２１日にも代理母が日本人のク
ローンベビーを自然出産する予定だ」と述べたそうです。「数年前に事故で死亡した男児の体細胞を母親（４１）の卵子へ移植してクローン受精卵を作り、代理 母（２５）の子宮に入れて妊娠させた。代理母は日本人ではないという」（朝日新聞２１日夕刊）。「父親は４０代の科学者で、男児が昏睡状態に陥った時、
＜クローン人間をつくって息子をよみがえらせたい＞とクローンエイドに要請。男児は１ヵ月後に死亡したという。」（同紙）
先の発表をした関係者は「日本ラエリアン・ムーブメント代表の沼倉英晶氏」で、「クローンエイドのブリジット・ボワセリエ代表から２日前に連絡を受けた」（東京新聞１月２０日朝刊）そうですが、話に符合していない点もあります。実母の卵子を使ったという点と、日本国内で出産するという点です。代理母の卵子を使うと、その女性（第三者）のミトコンドリア内の遺伝子が混ざるのではと思っていましたが、実母なら、それがなくなります。日本での出産であれば、
日本の法律に違反することになるかもしれません。あくまで本当にクローンだとしての話ですが。
ついに日本が舞台になるのでしょうか。病院探しなど、騒がしいことにならなければいいのですが。
１月２３日（木）
＊クローンエイド社が日本人クローン誕生を伝えたということです。２３日にカナダのトロントで記者会見するという。日本時間ではこれからでしょう。この ニュースを伝えている朝日新聞夕刊では、クローン胚の「体内への移植を海外で行った場合は、出産を禁止する法令はない」と述べられています。
また、「米フロリダ州の少年裁判所で２２日、世界初のクローン人間とされる女児「イブ」を巡る法廷審問があった。裁判官の質問に電話で答えた同社のトー
マス・ケンジグ副社長は＜イブの居どころはボワセリエ氏しか知らない＞と述べた」そうです。
真偽がはっきりしないため、すべてが半透明のベールで覆われている感じです。でも、いちおう本当である可能性も頭におきながら、この問題を考えていく必
要があると思います。「イブ」を巡る裁判は、たぶん、普通じゃない親から子どもを保護するような方向を目指しているのかもしれません。その場合、親権より 保護の方が優先されるのでしょう。でも、そもそも鑑定していないのだから、クローンと認定もできない。本物と分からないのに強権発動もできない。親の手から子どもが取り上げられることを恐れて、両親が当初ＤＮＡ鑑定を拒否したというのは、こうした事情によります。しかし、親もイブも雲隠れしているようですから、ことはやぶの中です。
１月２４日
＊クローンエイド社のボワセリエ氏が、日本人のクローン男児が２２日朝に誕生したと発表したそうです。アサヒコム(社会
01/24 10:05）によれば、男児は７ポンド（約３２００グラム）。新しい情報としては、代理母は日本人以外のアジア人。父親は生物学者であり、
もっか何人かの専門家と共同で、ＤＮＡ鑑定中という。亡くなった男児の細胞のＤＮＡと、誕生した男児のＤＮＡを比較するわけです。男児をＨＰ（クローンエ イド社のでしょう）で発表すると言っているそうですが、これは大いに問題です。
１．そもそもＤＮＡ鑑定が第三者によるものではないので、鑑定の結果クローンであると宣言されても、確証がとれない。
２．もし本当にクローンであるとしても、写真を公開して人目に曝す権利は、それを承諾した両親を含め、ないと思う。クローン男児が人々のいたずらな好奇心
や差別の対象になりえることを予期できれば、当事者はそのような行為は慎むべきではないか。男児の人権に対する配慮のなさを感じる。
３．発表をクローンエイド社のＨＰで行えば、全世界から何百万ものアクセスが予想される。その行為はラエリアン・ムーブメントの宣伝行為と見なされてもしかたないと思う。
４．最初の２０例を無料で、その後は有料でクローンを行うと言っているが、今回の両親は２０万ドル支払ったのではなかったのか。
今回のケースは具体的にかなり情報がある分、全体のいかがわしさが浮き彫りになってきた感じです。生物学者でＤＮＡ鑑定に加わっているという父親はいっ
たい、教団とどういう関係なのでしょうか。
２月２２日
＊４，５人目のクローン人間誕生の記事が昨日の毎日新聞夕刊に出ていました。「４人目は１月２７日にサウジアラビア人夫婦の間に、５人目は２月４日に生まれた」とクローエイド社。３人目が「生まれた」あと、まだ次々と「生まれる」ようなことを言っていたけど、どうなったのかなと時々思っていました。イタリ
ア人医師セベリノ・アンティノリのグループも１月中に生まれるようなことを言っていたけど音沙汰なし。クローン赤ん坊を宿した妊婦がベオグラードの病院にいるという話だったけど。
初のクローン羊ドリーが１４日に病死（肺癌）したりして、技術的にも問題が多すぎるクローン技術。たとえ妊娠していたにしても、ちゃんと生まれ育つ保障は全然ないのです。